抄録
Isospora felis(I. felis)実験マウスにおけるBabesia microti(B. microti)感染防御能について検討した. I. felis感染後28日目にB. microtiが接種されたマウスでは,ほとんど虫血症が観察されず, B. microtiに対し強い抵抗性が認められた. これらのマウスでは, B. microti接種前においては, 抗B. microti抗体は検出されなかった. I. felis感染マウス脾細胞が移入された個体では, B. microti接種後に出現した虫血症は, 未感染マウス脾細胞が移入された個体に比較し, きわめて軽微であった. 一方, I. felis感染マウスのうち, 抗L3T4モノクロナール抗体投与群では, B. microti接種後, 顕著な虫血症が観察された. これらの事から, I. felis感染によって惹起されるB. microti感染抵抗性には, 細胞性免疫, 特にL3T4+細胞の関与が示唆された.