Journal of Veterinary Medical Science
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イヌのリンパ腫・白血病細胞における免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子の再構成
桃井 康行長瀬 雅之岡本 ゆかり奥田 優佐々木 伸雄亘 敏広後飯塚 僚辻本 元長谷川 篤彦
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1993 年 55 巻 5 号 p. 775-780

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抄録

イヌのリンパ腫・白血病の腫瘍細胞の起源およびクローナリティーを明らかにするため, 臨床例から得られた腫瘍細胞について免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子の再構成の検出を行った. その結果, 解析を行った15例のうち, 10例において免疫グロブリン遺伝子の再構成が認められ, 4例においてT細胞レセプター遺伝子の再構成が認められた. これまで表面抗原の解析では分類が困難であった例においても免疫グロブリン遺伝子あるいはT細胞レセプター遺伝子のいずれかに明らかな再構成が認められた. またこれら腫瘍細胞はモノクローナルあるいはオリゴクローナルな細胞集団で構成されることが示唆された. さらに腫瘍組織の体内分布と腫瘍細胞の起源との関連も認められ, 多中心型リンパ腫の11例中10例はB細胞起源であり, その他, 比較的まれな体内分布を示した4例すべてがT細胞由来であった. 本研究で行った免疫グロブリンおよびT細胞レセプターの遺伝子再構成の検出は, 腫瘍細胞の起源およびクローナリティの解析にきわめて有用と考えられた.

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