Journal of Veterinary Medical Science
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イヌのエンドトキシンショックに対するDibutyryl cyclic AMP投与による循環動態およびケミカルメディエータへの効果
岡野 昇三多川 政弘浦川 紀元小川 龍
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1993 年 55 巻 6 号 p. 1001-1004

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抄録
Dibutyryl cyclic AMP(DBcAMP)のエンドトキシンショックに対する治療効果について検討した. 全身麻酔下で実験的に作出したエンドトキシンショック犬11頭をDBcAMP群5頭およびcontrol群6頭に群分けし用いた. DBcAMP群には, エンドトキシン(3mg/kg)投与前にDBcAMP(10mg/kg)を一回静脈内投与し, さらにエンドトキシン投与後180分にわたってDBcAMPを点滴投与(0.1mg/kg/min)した. 循環動態およびケミカルメディエータを中心とした測定は, エンドトキシン投与後360分まで行った. その結果, DBcAMP群においては, control群に認められた心拍出量および尿量の低下が有意(P<0.01)に抑制され, さらにエンドトキシンショック時のケミカルメディエータのProstaglandin I2およびThromboxane A2の代謝産物である6-keto-PGF1αおよびThrom-boxane B2の上昇が有意(P<0.01, P<0.05)に抑制された. 以上のことより, エンドトキシンショック時のDBcAMP投与の有用性が示唆された.
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