イヌ赤血球型のDシステムについて, 30品種3,191例を対象にその品種別出現頻度および遺伝子頻度を比較検討した. 日本で飼育されている犬のDシステムの頻度は品種により大きく異なることが明らかとなった. すなわち, D1型は在来種の方が欧米種に比較して高く, 欧米産の品種はD2型の頻度が高い傾向を示した. また, 日本において雑種と呼ばれる品種は, 在来種と欧米種との中間に位置する値を示した. これらの中で, 非常に興味深かった所見としては, アフガンハウンドのD1遺伝子頻度が在来種である柴犬と同じ0.3333を示した点, また, 在来種である土佐犬のD1遺伝子頻度は0.063と低く, 欧米産であるマルチーズの0.097よりも低い値であったことがあげられた.