Journal of Veterinary Medical Science
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馬の走行および水泳運動テストによる測定値を用いた多変量解析
三角 一浩平川 篤坂本 紘清水 亮佑
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1075-1080

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抄録

個々の馬の陸上での運動能力が規定水泳運動テストで評価できるか否か検討するために, 同一個体について走行運動と水泳運動に対する運動能力を評価し, 比較検討した. 3~5歳齢のサラブレッド10頭を使用し, ダートトラックと水路において5段階運動テストを行い, 運動中の心拍数と運動直後の血中乳酸値を測定した. 得られた測定値及び速度の相関関係より, 循環器系あるいは代謝系の適応度との関連性が高いとされる一連のパラメーター(VLA2, VLA4, LA0, V150, V200, HRs, HRLA2, HRLA4)を算出し, 主成分分析によってそれらの解析を試みた.第1・2主成分を軸として表した各パラメーターの相関関係は, 両運動テストで類似したものであった. また個々の馬について, 走行・水泳運動に対する適応度を比較したところ, トレーニングされた期間が短く, その強度も弱かった3頭の馬は, いずれの運動においても他の馬とは異なるグループとして統計的に区別された. 以上のことから, 多変量解析を用いて水泳運動に対する適応度を評価することにより, 陸上での運動適応度の劣る馬を判別できるものと考えられた.

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