Journal of Veterinary Medical Science
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犬腫瘍のSCIDマウスへの異種移植
杉本 健丸尾 幸嗣今枝 靖雄鈴木 馨代田 欣二江島 博康遠藤 幸夫野村 達次
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1087-1091

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抄録

手術もしくは剖検時に摘出された犬腫瘍をSCIDマウスの皮下に異種移植した. 73例中30例(41.1%)が初代移植に成功した. 乳腺腫瘍および皮膚・皮下腫瘍の初代移植成功率はそれぞれ55.9%(19/34)および28.6%(8/28)であった. 甲状腺癌, 口腔内平滑筋肉腫, 骨肉腫各一例も初代移植に成功した. 良性腫瘍の初代移植成功率は31.7%(13/41), 悪性腫瘍は53.1%(17/32)であった. 原腫瘍とその移植腫瘍の組織像はすべての例において互いに類似していた. 臨床的に転移の認められた4例中3例の腫瘍がSCIDマウスに移植成功し, この内2例の乳腺癌はSCIDマウスの肺に転移した. また初代移植に成功した30例全例が2代への移植にも成功した. SCIDマウス異種移植実験系は犬腫瘍の生物学的特性の解明に役立つと思われる.

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