Journal of Veterinary Medical Science
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腸管上皮細胞, 腸管粘液ならびに赤血球に対する Campylobacter jejuni の付着活性
丸山 総一勝部 泰次
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1994 年 56 巻 6 号 p. 1123-1127

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抄録

Campylobacter jejuni の付着因子の性状とその測定法について検討した. C. jejuni 15株の生菌, 死菌(ホルマリン, グルタールアルデヒド, および加熱処理)ならびに菌加熱抽出上清はヒト, ウマ, ヒツジ, ウサギ, マウス, ニワトり, およびウズラ赤血球のうちウサギ赤血球のみを凝集した. C. jejuni Y6878とY6817株の生菌, 死菌(100℃ 30分加熱処理, ホルマリン処理)ならびに菌加熱抽出上清はウズラ腸管上皮細胞およびヒト回腸上皮由来株化細胞(INT407)を凝集した. C. jejuni Y6878とY6817株の生菌および死菌はホルマリンあるいはグルタールアルデヒド固定ウサギ赤血球を凝集せず, また, この2株の鞭毛分画はウサギ未固定赤血球を凝集しなかった. さらに, Y6878株の加熱抽出上清はウズラ腸管粘液に付着することがELISAを用いた測定法で判明した. C. jejuni の付着因子は菌体表面上のホルマリン, グルタールアルデヒドおよび熱耐性の物質で, ウサギ赤血球凝集反応ならびにウズラ腸管粘液と菌加熱抽出上清を用いたELISAが簡便な測定法として有用であった. さらに, 付着因子検出のための赤血球凝集反応には赤血球表面のインタクトなレセプターが必要であることが示唆された.

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