ウシ体外受精卵の発育に及ぼすインスリンの影響を調べるために, 1 mg/m/のポリビニルアルコールを加えた修正合成卵管液(mSOF)を用いて培養を行った. 体外受精卵の桑実胚への発育率は, インスリン (5μg/ml) 単独の添加による影響を受けなかった. インスリンは, アミノ酸と共に添加した場合, 桑実胚への発育において, 協同的な発育促進効果を示した. アミノ酸を含むmSOFへのインスリン(1-100μg/ml)の添加は, 体外受精卵の肝盤胞への発育率を改善しなかったが, 桑実胚期以降に1あるいは10μg/mlのインスリンと1mMのグルコースを培養液に添加した場合, 得られた胚盤胞の細胞数は有意に増加した. 以上の結果から, インスリンは, アミノ酸やグルコースの存在下でウシ初期肝の発育に促進的な効果をもたらし, そのような効果は, 胚へのアミノ酸やグルコースの取り込みの促進によるものと推察された.