1995 年 57 巻 2 号 p. 367-371
犬糸状虫症で病理組織学的に肝静脈系に cavernous transformationが認められたイヌ肝内門脈-静脈の血管鋳型標本を作成し, 走査型電子顕微鏡で観察した. 中心静脈および小葉-「静脈は拡張し数珠状であった. 門脈では, 終末枝が洞様毛細血管に移行する部位でその口径を急激に減じていた. 犬糸状虫症の肝病変の一つである cavernous transformationは, 血管の増生や側副血行路の形成によるものではなく, 肝静脈の末端枝が数珠状に拡張したものであることが示唆された.