Journal of Veterinary Medical Science
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ラット分離膵島のサイズ別における耐凍能の変化
左近允 巌田浦 保穂萬場 光一鈴木 達行滝本 晃一中市 統三中間 實徳
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1995 年 57 巻 5 号 p. 859-863

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抄録

膵島の最適凍結法検索の前段階としてラット分離膵島のサイズによる耐凍能の変化を検索した. 分離した膵島を倒立顕微鏡下でその最大直径により Small (100-200μm). Medium (201-300μm), Large (>300μm)に分類し, Ethyleneglycol (EG) あるいはDimethyl sulfoxide (Me2SO) 存在下で-40℃まで緩徐凍結(-0.3℃/min)した後-196℃ で保存した. 融解後の膵島はサイズ別に2.8, 16.7, 2.8mMのD-glucose中で連続3回インスリン分泌の誘発を行い, そのインスリン分泌能を評価した. また形態学的にはβ-顆粒の免疫染色を行い, 画像解析によって膵島切片の面積に占めるインスリン陽性部位の割合を求め, サイズとの相関を検索した. 1頭のラットから分離される膵島の総数は314.7±51.8(Mean±SD)個であった.その内300μm以上の最大直径をもつ膵島の数は全体の16.7%だったが, その体積比は全体の43.0%に及んだ. 凍結融解後の16.7 mM D-Glucose中におけるインスリン分泌能は300μmの最大直径をもつ膵島のみにおいて新鮮牌島に比べ有意に低値を示した. EG, Me2SO凍結群にはインスリン陽性部位の牌島全体の面積に占める割合と膵島のサイズとの間に有意な負の相関が認められたが, 新鮮牌島には認められなかった. 以上の結果より, 肝島の耐凍能はそのサイズが大きい程低くなるため, 今後, 大型の膵島に焦点を当てて凍結方法を改良していくことが重要であると考えられた.

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