Journal of Veterinary Medical Science
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57 巻, 5 号
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  • 川口 寧, 見上 彪
    1995 年 57 巻 5 号 p. 801-811
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ヘルペスウイルス感染は, 時に, レトロウイルス感染症の病態を増進することが知られている. 近年, そのメカニズムが解明されつつあり, ヘルペスウイルスの制御蛋白がレトロウイルスの遺伝子発現を活性化し, レトロウイルスの複製および再活性化を増進することが明らかになってきた. 事実, 様々な動物種由来のレトロウイルスの遺伝子発現がヘルペスウイルスによって活性化されることが報告され, ヘルペスウイルスによるレトロウイルスの活性化は種を越えた共通の現象であると考えられている. しかし, レトロウイルスの遺伝子発現機構は, それぞれのウイルスによって著しく異なるにも関わらず, なぜ, 共通にヘルペスウイルスによって活性化されるのであろうか? 本総説では, ヒト免疫不全ウイルスとヒトヘルペスウイルス, 鶏由来レトロウイルスとマレック病ウイルス, ネコ免疫不全ウイルスとネコヘルペスウイルス1型の3つの典型的な活性化のメカニズムを比較概括し, それらの多様性の中に存在する共通性を考察する.
  • 前田 秋彦, 林 正信, 石田 こずえ, 水谷 哲也, 渡辺 智正, 波岡 茂郎
    1995 年 57 巻 5 号 p. 813-817
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス肝炎ウイルス(MHV)-JHM株に持続感染したDBT細胞からクローン化した細胞について, 持続感染の成立に関与する細胞因子を解析した. 分離された12細胞株中1細胞株でのみウイルス粒子の産生が認められ, ウイルスRNAおよびタンパク質が検出された. 他の細胞株では, ウイルスRNAは検出されたがウイルスタンパク質は検出されず, あるいはウイルスRNAとタンパク質はともに検出されなかった. すべての細胞株で細胞融合活性が阻害され, またMHV-JHM株の重感染に対して程度の差はあるが抵抗性を示したことから, 持続感染細胞での細胞因子の変化が示唆された.
  • Ghamsari Seyed Mehdi, 田口 清, 阿部 紀次, Acorda Jezie Alix, 佐藤 基佳, 山田 明夫
    1995 年 57 巻 5 号 p. 819-824
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    実験的に作製した乳牛の穿孔性乳頭損傷に対して単層縫合法 (Gambee縫合法), 二層連続縫合法 (粘膜をCushing氏縫合法, その糸で皮膚及び中間層を連続水平臥褥禅縫合), 二層分離縫合法 (粘膜を連続縫合, 皮膚と中間層を垂直褥禅縫合) 及び三層縫合法 (粘膜を連続縫合, 中間層を連続縫合, そして皮膚を結節縫合) を施し, 各乳頭縫合法の治癒過程をX線撮影所見, 局所の血流量, 抗張力, 組織中のハイドロキシプロリン量及び病理組織所見から比較検討した. 三層縫合法では乳頭の変形や血流の阻害が極めて少なく抗張力に富み, 穿孔性乳頭損傷に対する縫合法として最も優れた縫合法であることが明らかにされた. 単層縫合法と二層連続縫合法では粘膜の肥厚, 二層連続縫合法及び二層分離縫合法では皮膚の外翻, 各層癒合面の不整及び肉芽増生などの変形が認められた.
  • 廣田 好和, 梁 萬表, 荒木 誠一, 吉原 一浩, 古澤 修一, 保田 昌宏, Mohamed Amro, 松本 安喜, 小野寺 節
    1995 年 57 巻 5 号 p. 825-829
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌの末梢血単核細胞(MNC)および多形核細胞(PMN)の貧食機能に及ほす鶏卵白由来物質(EWD)の影響をフローサイトメーターによって解析した. EWDの存在下で培養した末梢血白血球(PBL)には貧食能の増強が認められ, その増強効果は100-400μg/mlのEWDで3-12時間培養した場合に最大であった. さらに, PBLをEWDの構成成分である conalbumin, flavoprotein および papain-inhibitor (それぞれ200μg/mlの濃度) で3時間培養した場合にも, PBLの貧食能は有意に増強した. また, MNCをEWD (200μg/ml) で4時間培養してもMNCの貧食能は増強したが, PMNを同様に培養した場合にはPMN の貧食能は増強しなかった. MNCをEWD (200μg/ml) で24時間培養した上清(20%)の存在-FでPMN, MNCおよびPMNをそれぞれ培養した場合には, いずれの細胞の貧食能は増強した. しかしながら, EWD (200μg/ml) で24時間培養したPMNの上清の存在下でPBL, MNCおよびPMNのそれぞれを同様に培養して検討したところ, いずれの細胞にも有意な貧食能の増強は認められなかった. 以上の成績から, EWDにはMNCおよびPMNの貧食能を増強する作用が認められるが, その増強効果はEWDの刺激を受けたMNCが産生する液性の活性物質によって誘導されることが示唆された.
  • 森田 剛仁, 粟倉 毅, 島田 章則, 梅村 孝司, 長井 武雄, 春名 章弘
    1995 年 57 巻 5 号 p. 831-837
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    全身性石灰沈着自然発生例の猫21例のうち5例について病理学的に検索した. 年齢は1歳から9歳であった. 血液および血清生化学的分析の結果, カルシウム, リン, 血液尿素窒素お上びクレアチニンの値が高かった. X線検査では全身の骨密度が上昇していた. 組織学的に, 肺, 気管, 腎, 心臓, 大動脈, 消化管, 脈絡叢, 骨など, ほほ全身の臓器の血管壁に石灰が著明に沈着していた. 肺, 腎および胃の石灰沈着病巣は核酸結晶の沈着を伴っていた. 血清生化学的に, 25-ヒドロキシコレカルシフェロール (ビタミンD) の高度上昇を認めた. 罹患猫は若齢より多量のビタミンD (100g中 6,370単位)を含む飼料を摂取していたことが判明し, その量は対照飼料(100g中 680単位)の10倍であった. ビタミンD中毒実験の病態は自然例のそれに類似していた. さらに, 自然例および実験例の肺および腎におけるカルシウム, リンおよび亜鉛の組織含有量が著明に上昇していた. 以上より, ビタミンD過剰飼料の摂取が猫の全身性石灰沈着症の多発に関与していることが示唆された.
  • 成田 實, 川嶌 健司, 両角 徹雄, 高島 久幸
    1995 年 57 巻 5 号 p. 839-844
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus pleuropneumoniae 1型菌を気管支内に接種し, 急性および亜急性の壊死性胸膜肺炎を誘起した. 0.25mg/kgのアトロピン注射, または気管支内キシロカイン噴霧処理により, 粘液分泌または線毛活動を抑制した豚では, 2頭が A. pleuropneumoniae (320 CFU/2ml) の感染後, 36時間以内に死亡した. その特徴病変は, 肺胞・小葉間結合織の水腫と多発性の血栓形成であった. 生存例における肺炎の程度は, 6,000CFU/2mlの菌を接種し薬剤非処理の対照豚のそれと類似していた. リンパ節では, 菌抗原に反応して樹状細胞の活性化, IgG- およびIgM- 保有細胞の増数が著明であった. 以上のことから, A. pleuropneumoniae の粘膜への付着が, 肺炎形成に強く影響することが示唆された.
  • 平田 聡子, 森 裕司
    1995 年 57 巻 5 号 p. 845-850
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    野生動物など捕獲, 採血が困難な動物種では, 生態研究や繁殖管理を目的に生殖内分泌機能の非侵襲的評価法の確立が待たれている. 糞中性ステロイドホルモン測定は, 糞の採材が動物を拘束する必要はなく容易に行えるため, 最も適していると考えられる. 本研究では反芻動物への応用を目指した研究モデルとして, シバヤギにおける糞中プロジェステロン測定法の確立を試み, 血漿中プロジェステロン濃度の変動との相関について検討を行った. 正常性周期を回帰する雌シバヤギ (n=4) および卵巣を摘出しプロジェステロンカプセルを皮下移植したヤギ (n=2) から糞および血液を経時的に採取し, それらのプロジェステロン濃度をラジオイムノアッセイ法により測定した. 糞の処理・保存・プロジェステロンの抽出方法について様々な条件で検討を行った結果, -20℃で凍結保存後に乾燥処理 (100℃で1.5時間) した糞0.25gをエーテルで一回抽出する簡便な方法を採用した. 本法による糞中プロジェステロンの回収率は約70%であった. 供試した全ての動物で, 糞中プロジェステロンと血漿中プロジェステロンの一致した変動が観察され, 両者の相関は交配させ妊娠に移行した場合および卵巣摘出ヤギにプロジェステロン処置した場合においても維持されていた. 以上の成績により反狗動物における糞中プロジェステロンの測定は排卵周期や妊娠を知る手段として有効であることが示された.
  • 岡本 芳晴, 柴崎 賢二, 南 三郎, 松橋 晧, 谷岡 慎一郎, 重政 好弘
    1995 年 57 巻 5 号 p. 851-854
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬におけるキチンおよびキトサンの開放創に及ほす影響を観察した. 犬背部に2個の全層に及ぶ開放創(2×2cm2)を0, 14, 21および24日目に作製した. ある犬の一側の創(左側)にはキチン(キチン群)粉末を, もう一方の創(右側)は無処置(対照群)とした. また他の犬では一側の創(左側)にキトサン(キトサン群)粉末を, もう一方の創(右側)は無処置(対照群)とした. 28日目に各創を周囲組織を含めて採材し, 肉眼的ならびに組織学的検索を実施した. 上皮化は対照群に比べてキチンおよびキトサン群においてより早い傾向がみられたが, 上皮化および肉芽組織形成についてそれぞれスコア化し, 統計学的に評価した結果, 実験期間を通じて3群間に有意な差はみられなかった. 受創後28日目においてキチンおよびキトサン群に比べて, 対照群において浸潤した炎症性細胞の数が有意に多かった. また対照群では多数の真皮乳頭形成がみられたが, その他の群ではほとんどみられなかった.
  • 平 詔亨, 中村 義男, Almeida Maria Angela O., 佐伯 英治
    1995 年 57 巻 5 号 p. 855-858
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Strongyloides venezuelensis (SVZ)の感染量と感染状況を知るため, ラット10頭を暴露数100(A群), 1,000(B群), 10,000(C群), 100,000(D群)そして1,000,000(E群)に等分した. A-D群のラットは生残し, より感染量の多いものは高いEPG値を示したがEPG値の減少も速かった. C及びD群のラット4頭は, 感染後7~21日間にEPG 10,000以上の値を示し, 最高EPGはそれぞれ85,400, 106,000, 134,000そして346,000に達した. E群のラットは感染時に強い痒覚と指(趾)球の発赤と出血がみられ沈鬱状態が続き, 暴露後4日に出血性肺炎を示し死亡した. 今回のラットでのSVZ感染試験では, 乳頭糞線虫感染子牛にみられるような突然死, 及び乳頭糞線虫感染ウサギにみられるような衰弱死はみられなかった.
  • 左近允 巌, 田浦 保穂, 萬場 光一, 鈴木 達行, 滝本 晃一, 中市 統三, 中間 實徳
    1995 年 57 巻 5 号 p. 859-863
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    膵島の最適凍結法検索の前段階としてラット分離膵島のサイズによる耐凍能の変化を検索した. 分離した膵島を倒立顕微鏡下でその最大直径により Small (100-200μm). Medium (201-300μm), Large (>300μm)に分類し, Ethyleneglycol (EG) あるいはDimethyl sulfoxide (Me2SO) 存在下で-40℃まで緩徐凍結(-0.3℃/min)した後-196℃ で保存した. 融解後の膵島はサイズ別に2.8, 16.7, 2.8mMのD-glucose中で連続3回インスリン分泌の誘発を行い, そのインスリン分泌能を評価した. また形態学的にはβ-顆粒の免疫染色を行い, 画像解析によって膵島切片の面積に占めるインスリン陽性部位の割合を求め, サイズとの相関を検索した. 1頭のラットから分離される膵島の総数は314.7±51.8(Mean±SD)個であった.その内300μm以上の最大直径をもつ膵島の数は全体の16.7%だったが, その体積比は全体の43.0%に及んだ. 凍結融解後の16.7 mM D-Glucose中におけるインスリン分泌能は300μmの最大直径をもつ膵島のみにおいて新鮮牌島に比べ有意に低値を示した. EG, Me2SO凍結群にはインスリン陽性部位の牌島全体の面積に占める割合と膵島のサイズとの間に有意な負の相関が認められたが, 新鮮牌島には認められなかった. 以上の結果より, 肝島の耐凍能はそのサイズが大きい程低くなるため, 今後, 大型の膵島に焦点を当てて凍結方法を改良していくことが重要であると考えられた.
  • 玄 海成, 翁長 武紀, 峯尾 仁, 加藤 清雄
    1995 年 57 巻 5 号 p. 865-869
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ヒツジの空腸におけるブドウ糖吸収および電解質と水の正味の移動に及ほす血管作用性小腸ペプチド(VIP)の影響をThiry-Vellaループを用いて調べた. NaCl(149mM)とPEG(1mg/ml)を含む10mMブドウ糖溶液のループ内腔灌流を1ml/minの速度で行い, 流出液を10分毎に採取した. 30分間の対照期間の後に, VIPを10, 30, 100, 300および1,000 pmol/kg/hr割合で頸静脈内に30分間注入した. 対照期間において, 水分, ナトリウム及び塩素は吸収されたが, カリウムと重炭酸イオンは分泌された. VIPは10および30 pmol/kg/hrにおいて水分の吸収を減じ, 100 pmol/kg/hr以上では用量依存性に吸収から分泌に変えた. ナトリウムは1,000pmol/kg/hrのVIPでのみ吸収から分泌ヘ変わり, 塩素は最高用量でも吸収された. また重炭酸の分泌はVIP投与により用量依存性に刺激された. カリウム分泌もまた全ての用量で増加されたが, 用量依存性ではなかった. ブドウ糖の吸収は何れの用量でもVIP投与により変化しなかった. 以上の知見は, ヒッジにおいてVIPは空腸の水分, ナトリウム, カリウム, および重炭酸の分泌を刺激すること, そしてVIPの静脈内注入により空腸での水分と電解質の流束が吸収から分泌へと変化しても, ブドウ糖の吸収は影響を受けないことを示している.
  • 宇塚 雄次, 斎藤 弥代子, 平松 育子, 永田 正
    1995 年 57 巻 5 号 p. 871-876
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌにおいて脊髄の障害は胸膜髄に生じることが多いので, 後肢神経刺激による体性感覚誘発電位(SEP)の検査は有用と思われる. そこで, 脛骨神経刺激による頭皮上からのSEP記録を行い, その頭皮上の分布, 体長による潜時の変化, 脊髄に対する実験的圧迫の影響について調べた. 最も大きな反応は国際10-20法で言うFzより得られ, 刺激と記録電極の部位との一定の左右差は認められなかった. 刺激同側の頭皮上から得られるSEPの潜時は刺激反対側から記録された反応のそれより短かった. 刺激部位から記録部位までの距離とSEP潜時の間には有意な相関が認められ, 回帰直線はy=0.072x+13.23であった. 脊髄に対する実験的圧迫の影響は背側からの圧迫が腹側からのものと比較すると感受性が高く, 振幅の低下と共に昔時の増加も脊髄の障害を示唆するものと思われた.
  • 簗瀬 純, 小川 博之, 大塚 宏光
    1995 年 57 巻 5 号 p. 877-881
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬を用い, 前明順応後の暗順応過程および暗順応後に幾つかの条件下で記録したERG波形に含まれる, 桿体系成分と錐体系成分について検討を行った. 暗順応開始後青色検査光を用いてERGを記録すると, 13分後から角膜陽性のb波が出現して次第にその振幅を増し, 61分後にはほぼプラトーに達した. このb波は, 分光感度測定の結果から桿体系由来の scotopic b波と考えられた. また約31分後からは律動様小波およびb波に先行する角膜陰性の小波が出現した. 検査光に赤色光を用いると, 暗順応開始直後から潜時が短く振幅の小さなb波が出現し, 振幅はすぐにプラトーに達したが, ほぼ19分頃から scotopic b波を始めとする桿体系成分が出現するとともに不明瞭となった. 2時間の暗順応後に赤色光刺激で記録されるERGでは, ヒトやサルと異なり錐体系成分は明瞭に識別されず, その波形は青色光刺激にて記録した波形と殆ど同じ形を示した. 暗順応開始直後から認められたb波は, その振幅や潜時, 背景光下における記録の結果などから, 錐体系由来の photopic b波と考えられた. Photopic b波の振幅は scotopic b波に比較してかなり小さく, 頂点潜時が scotopic b波に先行する陰性波の潜時と殆ど一致するため, 暗順応後に赤色光で誘発されるERG波形には, 錐体系の成分は含まれているものの明瞭には観察されないものと考えられた.
  • Chanhee CHAE, Yong-Soon LEE
    1995 年 57 巻 5 号 p. 883-889
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1から4週齢の正常子豚8頭の小腸について, 21種類のビオチン標識レクチンを用いた免疫組織化学(ABC法)を行ったところ, 5つの染色パターンが見られた. 第1型はDBA, LEL, STLおよびPNAで, 腸上皮の刷子縁とのみ反応した. 第2型はPSAで, 杯細胞に特異的であった. 第3型はRCA I, BSL II, DSL, WGA, Jacalin, ECL, ConA, LCA, UEA-1, PHA-EおよびPHA-Lで, 刷子縁と杯細胞の両方と反応した. 第4型はBSL 1とVVAで, 刷子縁とは反応したが, 杯細胞との反応は一定しなかった. 第5型はSBA, SJAおよびs-WGAで, 刷子縁と杯細胞との反応は一定しなかった. DSLと刷子縁および杯細胞との反応は1週齢では弱かったが, 週齢の進行とともに強くなった. これに対し, STL, PNAおよびLFLと回腸粘膜の刷子縁との反応は1および2週齢では強かったが,週齢の進行とともに弱まった. 今回の結果から, 豚の空・回腸粘膜上皮の多糖外被と杯細胞の粘液は年齢, 部位および細胞種によって変化することが分かった.
  • 鈴木 浩悦, 鈴木 勝士
    1995 年 57 巻 5 号 p. 891-897
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    雄性の性腺形成不全症ラット (hgn/hgn)は, 両側性の腎臓の低形成症 (HPK;hpk/hpk)を併発する[34] .本研究では, hpk/hpk, +/hpk および+/+ラットの腎重量と糸球体数の調査および組織学的検索を行った. 成熟の hpk/hpk 人々の腎重量および糸球体数は, +/hpk および +/+ よりも有意に少なく, 組織学的にはネフロンの数の低下, 肥大したネフロンおよび2次的な変性像が認められた. 血漿中の尿素窒素およびクレアチニンの濃度はhpk/hpkで有意に高かった. 生後初期において, 腎重量はhpk/hpkで有意に少なく, 糸球体数はhpk/hpk<+/hpk<+/+の順であり, いずれの間にも有意差が存在した. 組織学的には, hpk/hpkでは, 出生時において腎皮膜下の分化中のネフロンの層が薄く, 3日齢のhpk/hpkではその層が欠損している領域が広く認められた. 7日齢では, hpk/hpkでは, 未熟なネフロンの層がなおも観察された. これらのことから, hpk/hpkの腎低形成症は, 低下したネフロンの誘導から生じる可能性があり, その後のネフロンの成長期を経ても, 腎臓全体としての腎重量, 糸球体数および腎機能の代償は達成されないと考えられた.
  • 田浦 保穂, 石井 邦彦, 永見 充弘, 三笠 直也, 中市 統三, 中間 實徳
    1995 年 57 巻 5 号 p. 899-904
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    子犬の手術侵襲に対する免疫学的応答において, 犬パルボウイルス不活化ワクチン(CPV)を用いた手術直前ワクチン接種の効果を明らかにするために, 非ワクチン接種群とワクチン接種群とを開腹手術後のリンパ球幼若化反応と遅延型過敏(DTH)反応の測定により比較した. 吸入麻酔はイソフルランとハロタンを使用した. その結果, 非ワクチン接種群では, 手術後にリンパ球幼若化反応が低下し, 特にハロタン麻酔(GOF)群では著しく低下し, 非ワクチン接種群のイソフルラン麻酔(GOI)群よりも, 低反応期間が長く持続した. しかしながら, ワクチン接種群でのGOF群とGOI群では, 手術前の値よりもほとんどが低下しなかった. GOI下ではワクチン接種群のDTH反応は, 非ワクチン接種群よりも著しく上昇していたが, GOF下では, 非ワクチン接種群とワクチン接種群とでは, ほとんど差はなかった.以上の結果, 手術直前のCPVワクチン接種法は, 術後の免疫抑制を予防でき, またGOIはGOFよりも, 免疫能低下が小さいことが示唆された.
  • 山内 啓太郎, 吉田 真太郎, 長谷川 晃久, 池田 明弘, 張 奎泰, 松山 茂実, 西原 真杉, 宮澤 清志, 高橋 迪雄
    1995 年 57 巻 5 号 p. 905-909
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウマ卵巣より作出したcDNAライブラリーより, ウマインヒビンαサブユニット前駆タンパク質をコードするcDNAを単離した. ラットインヒビンαサブユニットcDNAの配列を基にプライマーを設計し, ラット卵巣RNAを用いたRT-PCR法によりスクリーニング用のプローブを作製した. 1.2×105個のプラークより19個の陽性クローンが得られた. そのうちの一つ(Eq-α-11)は, 367個のアミノ酸をコードする完全長のタンパク質翻訳領域を含んでいることが確認された. cDNAの塩基配列より推定されるウマインヒビンαサブユニット前駆タンパク質及び成熟タンパク質のアミノ酸配列は他の6種類の哺乳動物 (ウシ, ブタ, ヒツジ, ヒト, ラット, マウス) のものと比較して80%以上の相同性を有していた. ノーザンブロット法によりウマ卵胞及び精巣に存在するインヒビンαサブユニットmRNAのサイズは1.5 kbであることが判明した.
  • 甲斐 知恵子, 吉川 泰弘, 岡田 秀親, 山内 一也
    1995 年 57 巻 5 号 p. 911-915
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラウス肉腫ウイルス(RSV)による種々の腫瘍化ウズラ細胞は, 株化細胞, ウズラ胎児初代培養細胞(QE細胞)に関わらず, 新鮮ウズラ血清中の補体を活性化して細胞表面上に補佐第3成分(C3)を沈着させた. このC3の沈着は, ウイルス産生の有無とは関連しなかった. 一方, 化学癌性物質によるウズラ腫瘍細胞株, トリ白血病ウイルス感染QE細胞, また正常QE細胞では, このウズラC3の沈着は認められなかった. さらに, 温度感受性変異株のRSVをQE細胞に感染させると, 細胞の腫瘍化の許容温度である37℃ では補体を活性化したが, 腫瘍化を起こさない41℃では補体を活性化しなかった. 41℃でもウイルス産生は起こっているので, 細胞表面上のウイルス分子が, この活性化に必須の役割を果たしているのではないと考えられた. この腫瘍細胞表面上での補体活性化はEGTA-Mg++では阻害されずにEDTAで阻害された. よってこの活性化は第2経路を介していると考えられた. それはまた, 新鮮ウズラ血清をこれらのウズラ腫瘍細胞と反応させた後の血清中補体価において, 第2経路を介した活性の方が, 顕著に消費されていたことによっても証明された.
  • Geerts P., Pensaert M., Sanchez R.
    1995 年 57 巻 5 号 p. 917-920
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    古典型豚コレラが発生した3つの生産一貫経営農場において, 全ての病豚を淘汰し集中的なワクチンプログラムを導入した. 雌雄豚は6ヵ月おきに, 子豚は6と8週齢時にワクチンを接種し, 感染の度合を臨床所見及び血清学的検査によりモニターした. 血清学的検査の結果は臨床所見と一致しており, 汚染農場では高力価の抗体を保有する豚や抗体陽性の豚が多くみられたが, 臨床的に豚コレラがフリーの農場ではワクチン投与による低力価抗体が検出されたのみであった. 今回のワクチネーションでは病状の回復が観察されたが, いずれの農場においても豚コレラを制圧することはできなかった. 全ての農場で, 飼育最終段階でも少数の豚が感染していた. これらの豚は6, 8週齢時のワクチンに十分反応していなかったようであり, ワクチンプログラムに検討の余地がある. また, 感染農場の雌豚では高力価の抗体が検出された. この事はこれらの豚から産まれた子豚では受身免疫の期間がより長くなり, それに伴いワクチン接種の最適時が遅くなることを示している. 豚コレラを制圧するためには, 8週齢時以降のワクチネーションも含めたより集中的なワクチンプログラムの導入の必要性が示唆された.
  • 根本 謙, 大沢 朗, 弘田 克彦, 小野 恒子, 三宅 洋一郎
    1995 年 57 巻 5 号 p. 921-926
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    食性 (草食, 肉食, 雑食) の異なる15種の哺乳動物の糞便から Tannin-Protein Complex Degrading Bacteria (T-PCDB) の分離を試みたところ, 初めてコアラ以外の動物からグラム陰性T-PCDBが分離された. ウマでは54頭中7頭からT-PCDBが見つかったが, 他の動物からは全く分離されなかった. 分離時の集落形成数で比較すると, これらの菌はウマ糞便の通性嫌気性細菌叢の0.1%未満を成すだけであり, 以前報告されたコアラの糞便中の比率(60%以上)と比べて非常に低い存在比であった. 糞便から分離されたT-PCDB 7株は全てグラム陰性得菌であり球得菌状を含めて, 色々な大きさや形が見られた. 全ての株がタンナーゼを産成したが, コアラ由来株 (Lonepinella koalarum) のように没食子酸脱炭酸酵素を産成した株は1株もなかった. またパスツレラ科の代表的な11菌種23株についてタンナーゼ活性を調べたところ, 共に人の口腔内から分離された株である Heamophilus actinomycetemcomitans NIAH-10202T株 と Heamo;hilus segnis AH-10183T株でタンナーゼ活性が見られた.
  • 堀本 泰介, 伊藤 寿啓, Alexander Dennis J., 河岡 義裕
    1995 年 57 巻 5 号 p. 927-930
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏に対して非常に強い病原性を示すトリインフルエンザウイルス A/turkey/En-gland/60-92/91(H5N2)の赤血球凝集素(HA)開裂部位のアミノ酸配列 R-K-R-K-T-Rは, H 5強毒ウイルスの共通配列 X-X-R/K-X-R/K-Rとは異なっているため, そのHAは部分開裂性を示すものと推測された. 本ウイルス株の鶏胎児細胞でのHA開裂性を調べたところ, 予想に反しほぼ完全な開裂性を示した. この結果は基質の種類によっては開裂部位カルボキシル末端から2番目の非塩基性アミノ酸は細胞内聞裂酵素の認識および触媒作用に何ら影響を及ほすものではないことを示した.
  • 大沢 一貴, 渡辺 洋二, 佐藤 浩
    1995 年 57 巻 5 号 p. 931-934
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Hantavirus (HV)とリンパ系細胞との相互関係を解析するため, Hantaan 76-118, SR-11, B-1の3株をB95a, LYM-1, Vero/E6など10種類の細胞に接種し, その感受性を観察した. B95aでは76-118株のみが増殖し, LYM-1, Vero/E 6では3株すべてが増殖した. 一方, 他の7種類の細胞ではまったく増殖しなかった. この論文はHVがリンパ系株化細胞で増殖するという最初の報告で, B95a, LYM-1細胞はHVと宿主との相互関係解明の好材料となろう.
  • Paolicehi Fernando Alberto, Cipolla Ana Libertad, Casaro Adolfo Pablo, ...
    1995 年 57 巻 5 号 p. 935-938
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Brucella ovis感染ヒツジの組織切片を用いて組織化学的検索を行ったところ, 精巣上体, 精嚢腺および精管膨大部でレクチン結合能の変化が認められた. 精子の成熟, 輸送および貯蔵といった機能に関わるこれらの器官での糖質構造の変化は, 本疾患における受精能障害の一因となっている可能性がある.
  • 田中 雅之, 詫間 博, 國米 則秀, 大石 英司, 小尾 岳士, 平松 計久, 清水 悠紀臣
    1995 年 57 巻 5 号 p. 939-941
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    頭部腫脹症候群(SHS)のコマーシャルブロイラー鶏の病原学的検索を行った結果, 七面鳥鼻気管炎(TRT)ウイルスが日本で初めて分離された. 同じブロイラー鶏から, TRTウイルスと同時に, ニューカッスル病ウイルス(NDV), 鶏伝染性気管支炎ウイルス(IBV), 鶏レオウイルス(ARV), Escherichia coli, Morganella morganii および Proteus mirabilis が分離された. SHSを示した34日齢時のブロイラー鶏群の血清中には, TRTウイルスに対する抗体が確認されたが, 17日齢時の鶏群の血清中には, 抗体は検出されなかった. このことから日本で鶏のTRTウイルス感染が確認され, SHSの原因としてTRTウイルスとその他の病原微生物の関与が考えられた.
  • 有嶋 和義, 滝沢 達也, 小田 隆司, 山本 雅子, 富樫 宏史, 宗宮 弘明, 江口 保暢
    1995 年 57 巻 5 号 p. 943-944
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    帝王切開により得たラット新生子にβ-アドレナリン阻害剤であるプロプラノロール(PRO)を帝王切開直後あるいは180分後に皮下投与した. PRO投与30, 60, 90分後に動脈管の直径を測定した. 帝王切開直後に0.2, 1.0, 5.0mg/kgのPROを投与した新生子の動脈管の直径は, 投与30分後において対照群と比べて有意に大きく, 用量相関的であった. また, 5 mg/kg群では, その変化は投与90分後まで続いた. 切開180分後の動脈管は完全に収縮閉鎖しており, その時点で5 mg/kgのPROを投与しても変化は見られなかった. これらの結果は, PROはラット新生子の動脈管の収縮を阻害し, 動脈管の収縮にβ-アドレナリン作用が関与している可能性を示した.
  • 山本 秀明, 服部 雅一, 大橋 和彦, 杉本 千尋, 小沼 操
    1995 年 57 巻 5 号 p. 945-946
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マレック病ウイルス(MDV)ワクチン接種鶏にMDVを実験感染させると, CD 4陽性T細胞が孵化後21日(MDV感染後16日)で一過性に増加した後著しく減少した. このようなCD4陽4生T細胞の減少が免疫反応に及ほす影響を検討するため, これらの感染鶏での羊赤血球(SRBC)に対する抗体産生能を調べた. ワクチン接種後MDVを感染させた鶏では, 対照鶏に比べて低力価の抗SRBC抗体を産生し, またワクチン接種鶏及びMDVJ感染鶏においても同様に抗体産生能は低かった.
  • 小山田 隆, 工藤 上, 吉川 堯
    1995 年 57 巻 5 号 p. 947-949
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    青森県内でトウホクノウサギ Lipus brachyurus anguseiden の肺犬糸状虫症の1例を確認し, 本邦で最初の報告を行った. 肺の動脈および器質化した血栓内に死滅した2虫の寄生を認め, 未成熟な雄および雌の犬糸状虫 Dirofilaria immitis と同定した. 肺の主要病変は血管の変性と関連し, 肺動脈内膜の襞状~絨毛状線維化や好酸球浸潤を伴った内膜炎お上び血栓形成であった.
  • Nam-Sik SHIN, Soo-Wan KWON, Duk-Hwan HAN, Gill-Han BAI, Junghee YOON, ...
    1995 年 57 巻 5 号 p. 951-953
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Yongin 農場で飼育されていた5歳の雌のオランウータンが呼吸器症状を示した. X 線撮影では, 直径2-6mmの陰影が肺の全葉にわたって多発していた. 胸腔の肉眼観察では肺の左前葉が硬化し, 灰桃色に変色していた. 組織学的には, 肉芽腫性肺炎巣が肺の左右前葉に多発していた. 肝臓から分離された結核菌は, IS1081とIS6110に特異的な196 bpと245 bpのプライマーを用いたPCR法により, Mycobacterium tuberculosis と同定された.
  • 鹿野 創人, 中田 健一, 橋口 理恵, 嶋田 照雅, 小野 憲一郎
    1995 年 57 巻 5 号 p. 955-957
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Babesia rodhaini (BR) および Babesia microti (BM) の培養を試みたところ, 赤血球寄生率は, RPMI1640培養液に非働化しない牛胎仔血清を30-40%の濃度で添加し, ガス分圧を3%CO2-8%O2に設定した時にBRで約4倍, BMで約2倍に増加し, BM では虫体分裂像も観察された. また, 添加血清のロットによっては両原虫の増殖が全く認められなかったが, 適切な血清を選択すれば本原虫の短期培養は可能であると推測された.
  • 三角 一浩, 坂本 紘, 清水 亮佑
    1995 年 57 巻 5 号 p. 959-961
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    水泳トレーニングによる若馬の筋肉への効果を検討するために, 陸上トレーニングに水泳トレーニングを加え, 筋線維組成の変化を組織化学的に観察した. 2歳馬18頭を, A群;陸上トレーニングのみの群, B群;陸上トレーニングに水泳トレーニングを漸増的に加えた群, C群;陸上トレーニングに一定の水泳トレーニングを加えた群に分けた. BおよびC群では, トレーニングの進行に従い, 収縮速度が速く酸化性の低い筋線維 (fast twitch-low oxidative: FT) が減る一方で, 収縮速度が速く酸化性の高い筋線維 (fast twitch-high oxidative: FTH) が増える傾向にあり, 筋肉の有酸素能の高まりが示唆された.
  • 阿閉 泰郎, 山本 欣郎, 鈴木 義孝
    1995 年 57 巻 5 号 p. 963-964
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    成獣の台湾カモシカの指間洞腺を形態学的に調べた. 指間洞腺はすべての四肢の指間に認められる皮膚に由来する袋であり, 内腔は角質化した重層偏平上皮でおおわれている. 付属腺のアポクリン腺はよく発達しているが脂線と毛色の発育は非常に悪い. 指間洞腺の内容物は少なく, 皮膚の垢だと思われる. これらの所見より台湾カモシカの指間洞腺は日本カモシカのものと似ており, またその分泌機能は低いものと思われる.
  • 大橋 文人, 淡路 俊喜, 嶋田 照雅, 島田 保昭
    1995 年 57 巻 5 号 p. 965-966
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    2段階手術法により作成した実験的急性腎不全成猫11頭の血漿中メチルグアニジン(MG)をHPLCで測定し, 血中クレアチニン(CRN)値との相関を検討した. MGおよびCRNはいずれも腎不全の進行に伴い増加し, また両者には有意な正の相関 (y=0.187x-0.379, γ=0.9176, P<0.001)が認められた. さらに, 高CRN時には回帰式の勾配が増加することから, 尿素症の指標として血漿MG値は有用であると考えられた.
  • 丸尾 幸嗣, 杉本 健, 鈴木 馨, 代田 欣二, 江島 博康, 野村 達次
    1995 年 57 巻 5 号 p. 967-969
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    手術により摘出したネコ腫瘍9例の良性腫瘍50%(1/2), 悪性腫瘍100%(7/7)がSCIDマウス皮下に対する初代移植に成功した. 成功8例中, 継代を試みた6例すべてが累代移植可能であった. また, 乳癌1例はSCIDマウスで肺転移を起こした. 以上より, ネコ腫瘍のSCIDマウスに対する腫瘍形成性は高く, これら樹立株はネコ腫瘍のの増殖, 転移, および治療研究に役立つものと思われる.
  • 猪熊 壽, 吉田 孝, 大西 堂文
    1995 年 57 巻 5 号 p. 971-972
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    T細胞マイトゲンPHAおよびConAに対する黒毛和種子牛5頭の末梢血単核球(PBMC)の反応性を0から28日齢まで経時的にMTT法を用いて調べた. 0から7日齢子牛では, PHAに対する反応性は成牛のそれに比べて有意に低かった(p<0.05). 一方, ConAに対する反応性は, 28日齢までの子牛では成牛と比べて有意差が認められなかった. 7日齢までの黒毛和種子牛PBMCはPHAに対する反応性が未発達であると考えられた.
  • 加来 義浩, 昆 泰寛, 高木 信夫, 山下 匡, 林 正信, 渡辺 智正
    1995 年 57 巻 5 号 p. 973-975
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    雑種不妊は生物種の分化と維持に重要な役割を演じていると考えられている. 本研究ではマウスの Hst-1遺伝子に起因する雑種不妊の機序を解明する第1段階として, C57BL/6 (Mus musculus domesticus) と NJL(M. m. musculus) マウスの雄性雑種不妊について組織学的に解析した. 雑種不妊マウスの精巣では多数の精祖細胞ならびに第1精母細胞が観察された. 第2精母細胞ならびに精子細胞は認められなかった. 精細管腔の一部において精母細胞の変性像が観察された. 雑種不妊マウス精巣の染色体標本では精祖細胞/細糸期の細胞が増加しており, 合糸期/厚糸期の細胞は顕著に減少していた. 標本中に精子細胞ならびに精子は認められなかった. 第1精母細胞に起因する多数の変性細胞が観察された. これらの結果は精子形成が細糸期で阻害され, きわめて少数の細胞のみ第1減数分裂に進行するものの厚糸期には死滅することを示す.
  • 竹内 正太郎, 海藤 敏雄, 東 量三
    1995 年 57 巻 5 号 p. 977-979
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Actinomyces pyogenes のプロテアーゼをザイモグラムによって解析した. ゼラチンを基質とした時, 分子量69, 59, 55 kDaのプロテアーゼが豚および牛由来株に共通して検出された. さらに, 豚由来株では108 kDa, 牛由来株では102 kDaのプロテアーゼが認められた. これらのプロテアーゼはCaイオン依存性と思われた. カゼインを用いた時, 69, 59, 55 kDaのバンドのみ認められた. これらのプロテアーゼの活性はPMSF, DFPによって阻止された.
  • Riber C., Rubio M.D., Marquez F., Pinedo M., Muhoz A., Castejon F.
    1995 年 57 巻 5 号 p. 981-984
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アンダルシアン馬の蹄葉炎13例と健康対照10例について血液学的および血液化学的検査を行った. 病例からの検査材料は発症24時間以内の治療前に採取した. 末梢血中の赤血球数と白血球数には特に差はなかったが, 好中球数は減少しリンパ球数は増加していた. またCPK, LDH, ASTは有意に上昇していた. なおグルコース, K, 総蛋白にも上昇傾向が認められた.
  • 吉原 一浩, 田中 省吾, 森 康行, 横溝 祐一, 小野寺 節, 廣田 好和
    1995 年 57 巻 5 号 p. 985-988
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ胎仔の胸腺由来細胞を1年以上継代培養し株化した. この株化細胞(FBM-17)は, 電顕観察では多数のファゴゾームや部分的に拡張した粗面小胆体が認められた. また, 非特異的エステラーゼ陽性を示し, 貧食活性が認められ, IgGに対するFcレセプターを発現していた. さらに, recombinant bovine gamma-interferon 存在下で培養すると, MHC Class I, Class IIの発現が増強された. これらの結果から, この株化細胞はマクロファージであり, ウシの免疫調節機能や生体防御機構におけるマクロファージの役割の解明に有用であると考えられる.
  • 大石 明広, 濱田 聡子, 坂本 紘, 清水 亮佑
    1995 年 57 巻 5 号 p. 989-990
    発行日: 1995/10/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血液透析維持された両腎摘出犬において, リコンビナント・ヒト・エリスロポエチン(rhEPO)投与の貧血進行防止効果について検討した. rhEPO非投与対照犬では, 血液透析の反復に伴って徐々に貧血の程度が進行し, 骨髄では赤血球造血反応はほとんどみられなかった. しかしながら, rhEPO投与犬では, 骨髄の赤血球造血反応は活発となり, 透析に起因する貧血は防止された.
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