Journal of Veterinary Medical Science
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各種哺乳動物の糞便中から分離されたタンニン-蛋白複合体分解菌の研究
根本 謙大沢 朗弘田 克彦小野 恒子三宅 洋一郎
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1995 年 57 巻 5 号 p. 921-926

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抄録
食性 (草食, 肉食, 雑食) の異なる15種の哺乳動物の糞便から Tannin-Protein Complex Degrading Bacteria (T-PCDB) の分離を試みたところ, 初めてコアラ以外の動物からグラム陰性T-PCDBが分離された. ウマでは54頭中7頭からT-PCDBが見つかったが, 他の動物からは全く分離されなかった. 分離時の集落形成数で比較すると, これらの菌はウマ糞便の通性嫌気性細菌叢の0.1%未満を成すだけであり, 以前報告されたコアラの糞便中の比率(60%以上)と比べて非常に低い存在比であった. 糞便から分離されたT-PCDB 7株は全てグラム陰性得菌であり球得菌状を含めて, 色々な大きさや形が見られた. 全ての株がタンナーゼを産成したが, コアラ由来株 (Lonepinella koalarum) のように没食子酸脱炭酸酵素を産成した株は1株もなかった. またパスツレラ科の代表的な11菌種23株についてタンナーゼ活性を調べたところ, 共に人の口腔内から分離された株である Heamophilus actinomycetemcomitans NIAH-10202T株 と Heamo;hilus segnis AH-10183T株でタンナーゼ活性が見られた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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