抄録
羊型悪性カタル熱の血清学的診断法の検討を試みた. 牛甲状線細胞で培養したウシカモシカ型悪性カタル熱ウイルスWC11株を抗原に使用して補体結合(CF)反応を行うと, WC11株を実験感染した牛とともに, 病理組織学的に羊型悪性カタル熱と診断された牛からも, 抗体が検出された. しかし, 寒天ゲル内沈降試験では, WC11株実験感染牛でのみ沈降線が認められた. CF試験により北海道内の羊の悪性カタル熱ウイルス抗体保有状況を調べた結果, 64.3%が抗体を保有しており, CF抗体価4以上の血清は全て間接蛍光抗体試験で抗体価8以上を示した. CF試験は, 羊型悪性カタル熱の疫学調査を行う際に, 抗体価の動きを客観的に定量する手法として有用と考える.