Journal of Veterinary Medical Science
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58 巻, 1 号
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  • 泉対 博, 西森 知子, 永井 郁夫, 西岡 信義
    1996 年 58 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    羊型悪性カタル熱の血清学的診断法の検討を試みた. 牛甲状線細胞で培養したウシカモシカ型悪性カタル熱ウイルスWC11株を抗原に使用して補体結合(CF)反応を行うと, WC11株を実験感染した牛とともに, 病理組織学的に羊型悪性カタル熱と診断された牛からも, 抗体が検出された. しかし, 寒天ゲル内沈降試験では, WC11株実験感染牛でのみ沈降線が認められた. CF試験により北海道内の羊の悪性カタル熱ウイルス抗体保有状況を調べた結果, 64.3%が抗体を保有しており, CF抗体価4以上の血清は全て間接蛍光抗体試験で抗体価8以上を示した. CF試験は, 羊型悪性カタル熱の疫学調査を行う際に, 抗体価の動きを客観的に定量する手法として有用と考える.
  • 谷口 和美, 登嶋 嘉則, 斎藤 徹, 谷口 和之
    1996 年 58 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニホンアカガエルの嗅上皮および鋤鼻器の形態形成を, 光顕および電顕により観察した. 成体では, 嗅上皮嗅細胞は長い線毛を備えた嗅小胞を有し, 支持細胞は微絨毛を備えていた. また支持細胞は, 中性ムコ多糖類と思われる分泌顆粒を含んでいた. 一方, 鋤鼻器では感覚細胞は微絨毛を, 支持細胞は線毛を備えており, 分泌顆粒は含んでいなかった. 発生学的には, 孵化直後のオタマジャクシの嗅板上皮では嗅細胞, 支持細胞などの識別はできず, 孵化4日後に, 嗅上皮腹側部が内側方ヘ陥凹して, 鋤鼻器となった. この時期, 嗅上皮ではすでに嗅細胞と支持細胞の識別が可能となり, 孵化24~36日には支持細胞の分泌顆粒も形成され, 嗅上皮は成体と類似した形態をとるようになった. 一方, 鋤鼻器は孵化36日にはまだ未成熟で, 変態が終了する孵化60日に至っても微細構造的に形態形成は完了していなかった. 以上より, 発生学的に嗅上皮は鋤鼻器より早期に形成され, その機能を開始すると思われた.
  • 谷口 和美, 登嶋 嘉則, 斎藤 徹, 谷口 和之
    1996 年 58 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニホンアカガエルの嗅上皮および鋤鼻器それぞれの付属腺であるボウマン腺とヤコブソン腺の形態形成を, 光顕および電顕により観察した. 成体では, ボウマン腺はPAS強陽性で電子密度の低い大型分泌顆粒を, ヤコブソン腺はPASにわずかに陽性で様々な電子密度の中型分泌顆粒を含んでいた. 発生学的には, ボウマン腺は孵化44日に嗅上皮内に形成され, 孵化52日にはその数は増加し, 一部は上皮下へ移動した. この時期のボウマン腺は電子密度の低い大型分泌顆粒と良く発達した粗面小胞体を備えていた. 一方ヤコブソン腺はボウマン腺より早期に形成された. すなわち鋤鼻器は孵化4日後に嗅上皮腹側部の内側方への陥凹として形成され, この鋤鼻器上皮下に, ヤコブソン腺は孵化10日後に形成された. ヤコブソン腺は孵化12日には良く発達した層板状の粗面小胞体を, また孵化24日には少数ながら分泌顆粒を有し, その後顆粒数は漸増した. 以上より, 発生学的に嗅上皮は鋤鼻器より早期に形成されるにもかかわらず, それぞれの付属腺では発生の順番が逆転し, ボウマン腺はヤコブソン腺よりも遅れて形成され, 機能を開始すると思われた.
  • 岩田 晃, 岩田 紀子, 斎藤 敏樹, 濱田 和成, 宗川 吉汪, 上田 進
    1996 年 58 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Madin-Darbyイヌ腎(MDCK)細胞およびA72細胞と水疱性口炎ウイルス(VSV)を用いたイヌインターフェロン(IFN)活性の細胞変性(CPE)阻止法による定量法を検討した.標準IFN試料としてUV不活化NDVで誘導したイヌ脾臓細胞由来IFNを調製した. VSVはMDCK細胞のシートが形成されたときは感染増殖せず, 細胞がまばらに増殖しているときにのみ全体にわたるCPEが観察された. MDCK-VSV系では96穴プレートで104個/wellの細胞数以下で, 105TCID50/mlのVSVを感染させる必要があった. また, A72-VSV系では培養密度はMDCK-VSV系ほど厳密でなく, 感染VSV量も103TCID50/mlであった. MDCK-VSV系はA72-VSV系よりIFNに対する感度は若干優れていたが, 再現性はA72-VSV系の方が高かった. これらのことから, A72-VSV系が操作が簡便であるので実用的と思われた.
  • Awal Mohammad Abdul, 松元 光春, 豊島 靖, 西中川 駿
    1996 年 58 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラットの腹鼠径部第1乳腺に分布する深腸骨回旋および浅後腹壁動脈の内皮細胞の生殖周期に伴う微細構造の変化を乳腺の毛細血管と比較しながら電顕ならびに画像解析装置を用いて検索した. 両動脈の内皮下層は処女および離乳期で広く, 妊娠および泌乳期で狭かった. 内皮細胞には内弾性膜の有窓部を通り中膜に達する突起がしばしばみられた. 両動脈および毛細血管の飲小胞の密度は, 妊娠期に有意に増加し, 泌乳期で最大となり, 離乳期に減少した. とくに毛細血管の変化は最も著しく, 妊娠期では処女期の2倍, 泌乳期では4倍に増加した. ミトコンドリアの密度は, 泌乳期で最大になる傾向がみられ, 毛細血管では処女期よりも他の時期が有意に高かった. 泌乳期の辺縁ヒダおよび微絨毛様突起は処女期よりも有意に長かった. 以上の観察から, 両動脈および毛細血管の内皮細胞の微細構造は, 生殖周期に伴う乳腺の機能状態と密接に関連して変化することが示唆された.
  • 柳井 徳磨, 柵木 利昭, 石川 勝行, 酒井 洋樹, 岩崎 利郎, 森友 靖生, 後藤 直彰
    1996 年 58 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    食肉検査所で採取した健康なウマの脳に認められたミネラル沈着症の初期像とその形態学的特徴について検討した. 3歳から10歳のウマ20例を検索し, 12例で淡蒼球の血管に種々の程度のミネラル沈着病変を認めた. 3歳では8例中3例に, 4歳以降では12例中9例に病変を認めた. 中等度以上の変化は4歳以降に認められたことから, 加齢との関連が示唆された. 沈着病変の発現形態は大きく2型に分けられた. 毛細血管の周囲における小型球状沈着物; 細動脈, 小動脈および小静脈の血管壁における塊状の沈着物であった. いずれの沈着病変もPAS反応には強陽性, コッサ反応およびベルリン・ブルー染色には弱陽性を示した. 元素分析では多量のアルミニウム, 中等量の燐, 亜鉛, カルシウムおよび鉄, 微量のナトリウムが検出された.
  • 小林 圀, 鷲巣 誠, 近藤 元紀, 松倉 克仁, 本好 茂一, 宮坂 勝之, 高田 正雄
    1996 年 58 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    総肺血管コンプライアンスを肺動脈コンプライアンス(Ca)と肺静脈コンプライアンス(Cv)に分けた肺血管床の集中定数モデルを作成した. そして, 肺動脈閉塞法(AO), 肺静脈閉塞法(VO), および肺動静脈同時閉塞法(DO)を犬の左肺後葉単離潅流標本に実施して肺血管コンプライアンス分布を検討した. 肺静脈圧を5mmHgに維持し, 肺動脈圧を10から22mmHgまで4mmHgずつ変化するように標本潅流量を段階的に増加させた. 潅流量の増加にともなう肺血管内血液量の増加量(ΔV)は, 潅流回路内の血液リザーバー血液量の減少量から推定した. それぞれの潅流量でDOを実施し, 血管内血流が停止したときの定常圧(Ps)を測定した. このPsはコンプライアンスの重みつき平均圧である. 総肺血管コンプライアンスはPsとΔVとの関係直線の傾きから算出した. 肺動脈圧が14mmHg, 肺静脈圧が5mmHgの時にAO, VO, およびDOを実施し, Caの圧, Cvの圧, およびPsを測定した. これらの圧の値からCaとCvの比を計算した. その結果, 総肺血管コンプライアンスは0.113±0.012ml/kg/mmHgであった. CaとCvはそれぞれ0.026±0.013と0.087±0.007ml/kg/mmHgであった. AO, VO, およびDOを実施することによって, 犬肺血管コンプライアンスの肺動脈と肺静脈の分布を評価できることが示唆された.
  • 岸川 嘉洋, 渡部 敏, 渡辺 翼, 久保 周一郎
    1996 年 58 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    母乳中には新生児の成長および発育に必要な栄養素, ミネラル, ビタミン類のほかに細胞成長因子が含まれ, 母乳は継代培養細胞の培地成分として血清の代わりに使用できることが明らかにされている. 本研究では, 上皮細胞(ウシ腎由来CKT-1, イヌ腎由来MDCK)および線維芽細胞(ラット骨格筋由来L6, マウス胎仔由来BALB/c3T3)の4種類の培養細胞を使用し, [3H]チミジン取り込み法により, ホルスタイン初乳中の細胞成長因子の種類, 初乳の産後採取時間による細胞成長活性の動態, 上皮細胞成長因子の精製法および精製因子の性状を検討した. その結果, ウシ初乳中にはCKT-1, MDCKおよびL6に対し, 細胞成長活性および産後採取時間により動態を異にする因子が存在することを認めた. さらに, CKT-1に対し高い成長活性を有し, 初乳の産後採取時間(1-68時間)を通じ活性のほぼ一定しているペプチド因子を精製し, その等電点, 分子量およびアミノ酸組成を明らかにし, この因子は従来他の研究者が報告しているものとは異なる性状を示すと結論した.
  • 七戸 和博, 清水 眞澄, 黒川 和雄
    1996 年 58 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬の慢性気管支炎および心臓性喘息は咳嗽が主徴で臨床的に発生頻度が高い疾患である. その咳嗽を誘発する重要な要因の一つとして, 化学物質の抗原性によるアレルギー反応が知られている. ヒ卜のアレルギーの臨床では漢方製剤が以前から使用されているが, 獣医臨床では試みが少ない. 本研究は, M-711(漢方製剤, 木防己湯)の犬の慢性気管支炎および心臓性喘息に対する有効作用を実験的に解明するために, アレルギー性喘息モデルラットを用いて検討したものである. M-711乾燥エキスとその構成成分であるボウイ, ニンジン, ケイヒ, セッコウ単独の効果についてメチルエフェドリンを対照として比較した. 被験薬物を前投与したラットに, 卵白アルブミン・抗卵白アルブミンウサギ血精の抗原抗体反応による喘息を惹起し, 血圧および呼吸機能の経過を観察した. M-711は, 乾燥エキスとして20mg/kg以上で, メチルエフェドリンと同様喘息症状の改善がみられた. M-711を構成する生薬の単独投与では著明な効果は認められなかった. 以上の成績から, M-711はアレルギー性喘息時の呼吸因難を改善し, その作用は構成薬物全体の相互作用によるものと思われた. 一般に漢方製剤を用いる場合の長所として有害作用が少ないといわれていることから, M-711は臨床的に犬の慢性気管支炎および心臓性喘息の治療に有効であるものと考えられる.
  • 田仲 哲也, 小俣 吉孝, 斎藤 篤志, 島崎 敬一, 五十嵐 郁男, 鈴木 直義
    1996 年 58 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Toxoplasma gondii虫体の細胞内増殖に対し, ウシラクトフェリン(LF)の及ぼす影響について検討すべく, マウス腹腔内マクロファージ及びマウス胎仔細胞を用い, LF添加培養時における虫体の細胞内増殖について経時的観察を行った. 虫体の細胞内侵入能力には, LFの添加は影響を示さなかった. 一方, 虫体の細胞内増殖に対してはLF添加により阻害効果が観察された. アポ型LF添加並びにホロ型LF添加においても同様の阻害効果が観察された事から, LFによる阻害効果には鉄分子は関与しない事が示唆された. また, LF前培養マクロファージでは, 増殖阻害を示さなかったのに対し, 同処理胎仔細胞では虫体の増殖阻害を示した事から, 両者におけるLFの効果は異なる機序が推察された.
  • 荻野 博明, 金子 周義, 中林 大, 渡辺 大成, 村山 仁一
    1996 年 58 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Chlamydia psittaci(C.psittaci)感染と診断した流産胎子9例および娩出後まもなく死亡した子牛1例を病理学的に検索した. 肝臓の特徴的な病変は9例の流産胎子における巣状壊死と死亡新生子牛の肉芽腫性巣状壊死であった. 核内封入体は肝臓, 脾臓, 胸腺, リンパ節, 副腎, 腎臓, 肺および第一胃の壊死巣で観察された. 免疫組織学的には, 少数のC.psittaci抗原が肝臓の壊死巣の基本小体に一致して検出された. 牛伝染性鼻気管炎(IBR)ウイルス抗原は種々の臓器の変性, 壊死した実質細胞に検出され, 核内封入体の形成を伴っていた. 以上のことから, 今回の流産胎子並びに新生子牛は胎子期にC.psittaciとIBRウイルスの混合感染をうけた.
  • 吉松 組子, 有川 二郎, 李 紅, 苅和 宏明, 橋本 信夫
    1996 年 58 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    患者血清中の抗体検出率を指標とした場合のWB法の感度は, 間接蛍光抗体法とほぼ同等で, Hantaan, Seoul, Puumalaのいずれの血清型ウイルス感染例も広く検出可能であった. 間接蛍光抗体法では陰性血清群(244例)の9例が偽陽性例であったがWB法では一例も反応例が認められず, 高特異性であった. また, 原因不明熱性患者の確定診断にも有効であり, 本法は間接蛍光抗体法でスクリーニングした後の確定診断法として有効と考えられた.
  • 元 鍾漢, 谷口 和之, 佐藤 れえ子, 内藤 善久
    1996 年 58 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ビタミンD3(VD3)投与が甲状腺C細胞およびCa代謝に及ぼす影響を非妊娠期, 妊娠中期および妊娠末期のラットを用いて検討した. 投与後3日目の非妊娠期および各妊娠期における甲状腺C細胞1個の平均面積は, VD3投与群が対照群に比べ有意に増加した(P<0.01). 一方, 血漿Ca濃度は, 非妊娠期および妊娠末期にはVD3投与群が対照群に比べ有意の低値を示し(P<0.05), 妊娠中期においても低下する傾向にあった. 以上の結果から, VD3の投与は非妊娠および妊娠を問わず甲状腺C細胞を刺激し, 血漿Ca濃度を低下させるものと推測された.
  • Tuchili Lawrence, Ulaya William, 加藤 行男, 金内 長司
    1996 年 58 巻 1 号 p. 77-78
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ザンビア国ルサカ市周辺の養鶏場6箇所の病鶏26羽から分離したSalmonella26株の血清型はS.Gallinarum(11株), S.Agona(7株), S.Alamo(1株), S.Infantis(1株), S.Virginia(1株), S.Haifa(1株)およびS.Dublin(1株)の7種であった. S.Gallinarumはすべての養鶏場から分離され, 最も高率に検出された. ザンビア国のニワトりからはこれまで14種の血清型が分離されているが, 今回さらに3種(S.Alamo, S.Haifa, S.Virginia)が新しく検出された.
  • 中村 直子
    1996 年 58 巻 1 号 p. 79-80
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    臨床症状を欠く2頭のホルスタイン種去勢牛の横隔膜筋に, 肉眼的に軽度の褪色, 硬化, 肥大が見られた. 組織学的には筋線維の大小不同, 筋線維分裂, 筋核の中央移動, 中心コア等が観察された. これらの病変は, 程度は軽度であったがホルスタイン雌牛の横隔膜筋ジストロフィー症のそれとほほ一致した. 以上から本疾患は雌雄いずれにも存在し, 常染色体性劣性の遺伝性疾患であることが示唆された.
  • 丸山 総一, 野上 貞雄, 井上 勇, 難波 信一, 浅野目 和男, 勝部 泰次
    1996 年 58 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1995年1月~3月の間に採取した33頭の猫の血液のうち, 3頭(9.1%)からわが国で初めて猫ひっかき病の原因菌であるBartonella henselaeを分離した. 3頭のうち1頭は, 尿閉を呈した1歳半の雄の飼い猫, 他の2頭は外見上健康な6歳の雌の不要猫ならびに年齢不詳の雌の飼い猫であった. 猫血液を溶血遠心管(Wampole Isolator tube)に採血後, 5%ウサギ血液加ハートインフュージョン寒天に塗抹し, 35℃, 5%CO2下で培養したところ, 14日目に微細なラフ型コロニーを形成した. 分離菌は, グラム陰性, 多形性単桿菌であった. 菌体より抽出したDNAはリケッチアクエン酸合成酵素遺伝子認識プライマーを用いたPCR法により増幅され, その増幅DNAの制限酵素(Taq I, Hha I)切断パターンからB.henselaeと同定された. 以上から, わが国の猫にもB.henselaeが分布していることが明らかとなり, 本菌の病原巣としての猫の重要性が確認された.
  • 佐々木 隆志, 鮫ヶ井 靖雄, 波岡 茂郎
    1996 年 58 巻 1 号 p. 85-86
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ブタ由来Bifidobacterium thermophilumのペプチドグリカン(以下PG)をSPFのマウスに経口投与し, 脾臓由来好中球の貪食能への影響を検討した. 好中球の貪食活性はPGの経口投与で濃度依存的に活性化されたが, 至適濃度(500μg)以上のPGを経口投与すると貪食活性は低下した. PG経口投与1日後から貪食活性が上昇し, 3日後で最大値を示した後, 活性は減少した.
  • Zarkasie Kamaluddin, 沢田 拓士, 吉田 孝冶, 高橋 勇, 高橋 敏雄
    1996 年 58 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血清型2型の豚丹毒菌5株の液体培地における増殖性, 全培養菌液で調製した不活化ワクチンのマウスにおける免疫原性, 菌体表層蛋白のSDS-PAGEプロファイル, およびそのイムノブロット像を比較したところ, 多摩-96株は安定した増殖性を示し, 免疫原性が最も高かった. 菌体表層蛋白のSDS-PAGE像とイムノブロット像は供試株間でほぼ類似し, 66-64kDa蛋白が主要共通抗原として認められた.
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