抄録
起こり得る細胞変化を検討するために, ラット悪性線維性組織球腫(MFH)に由来する未分化間葉系細胞(MT-8)及び線維組織球様細胞(MT-9)を, リポポリサッカライド(LPS; 10μg/ml)含有培地で培養することによりMT-8L及びMT-9L細胞を誘導した. MT-8L及びMT-9L細胞では組織球特異酵素に対する陽性率が有意に増加し, 組織球様の微細構造を示した. また, MT-8L細胞では, a-平滑筋アクチン陽性の筋線維芽細胞様細胞の数が有意に増加した. MT-8L細胞は組織球と筋線維芽細胞の双方の性格を表出した. MT-8L誘発腫瘍はMFHのストリフオーム型から主に成る組織像を示し, 未分化肉腫型を示すMT-8腫瘍とは異なっていた. MT-9LとMT-9腫瘍は, ともにストリフォーム型の像を呈した. LPS処理によりMFH細胞の表現型の変化がたやすく誘導された.