Journal of Veterinary Medical Science
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奇形赤血球を呈した子ウシにおけるヘモグロビンタイプ, 赤血球膜蛋白構成および血漿鉄濃度
岡部 潤田島 茂行大和 修稲葉 睦萩原 紳太郎前出 吉光
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1996 年 58 巻 7 号 p. 629-634

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抄録

軽症(奇形赤血球率30%前後)および重症(同70%以上)の奇形赤血球症を呈した9頭の1~2ヶ月齢の子ウシについてその原因を検討した. 血漿鉄濃度は, 重症牛1頭を除く8頭全てが正常値の20~30%に低下していた. このうち, 軽症牛7頭では加齢とともに血漿鉄が正常化するにつれて奇形赤血球が減少したが, 重症牛1頭では血漿鉄が正常化した後も高い奇形赤血球率を示した. イオン交換カラムクロマトグラフィーによるヘモグロビンの分析では, 軽症牛に比べて重症牛ではHb-2と仮称したヘモグロビンが著しく増加していた. 増加したHb-2は加齢とともに減少したが, それと一致して奇形赤血球も減少した. SDS~PAGEによる赤血球膜蛋白質の分析では, 重症牛の2頭および軽症牛の7頭中3頭において, バンド4.2が2本に分離した. 以上の結果から, 奇形赤血球の増加については, 軽症牛では血漿鉄の低下が, また重症牛ではヘモグロビンおよび赤血球膜蛋白の構成変化が関与していたものと推察された.

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