Journal of Veterinary Medical Science
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58 巻, 7 号
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  • 山手 丈至, 田島 正典, 渋谷 一元, 桑村 充, 小谷 猛夫, 佐久間 貞重, 竹屋 元裕
    1996 年 58 巻 7 号 p. 603-609
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    悪性線維性組織球腫(MFH)における "組織球様" 細胞の起源と性質を明らかにするために, ラットのマクロファージ/組織球に特異的な単クローン性抗体(ED1及びED2)に対する免疫反応性, 並びに単球遊走化蛋白(MCP-1)の産生をラットの可移植性MFH由来クローン細胞(未分化MT-8細胞及び線維組織球様MT-9細胞)を用いて検討した. ED1及びED2に対する陽性率は, MT-8では2.5%から26.0%, MT-9では6.0%から40.0%の範囲にあった. 同系移植において, ED1陽性細胞は, MT-9腫瘍中には頻繁に認められたのに対し, MT-8腫瘍ではほとんど観察されなかった. MT-8及びMT-9腫瘍ともに, ED-2陽性細胞は腫瘍組織内には発見されなかった. MT-8及びMT-9のそれら抗体に対する免疫表現型はin vitroとin vivoでの条件に依存し容易に変化するのかもしれない. ELISAにより, MCP-1は, MT-8とMT-9の培養上清中にはほとんど検出されなかったが, 担MT-8とMT-9腫瘍ラットの血清には高レベルのMCP-1があった. それらの担腫瘍ラットにおいて, 循環単球数は有意に増加し, さらにマクロファージの増殖を刺激する因子の存在が, ラットの骨髄細胞を用いたコロニー形成試験により証明された. ヌードマウスに形成されたMT-8及びMT-9腫瘍における組織球様細胞はマウスのマクロファージ関連抗体に対してのみ反応した. このことは, MCP-1及びマクロファージの増殖を刺激する因子によっておそらく誘導された非腫瘍性の宿主起源の浸潤マクロファージが腫瘍中に存在することを示唆する. 今回の研究は, ラットMFHにおける "組織球様" 細胞の起源と免疫表現型には多様性があることを示す.
  • 元 鍾漢, 福田 俊, 佐藤 れえ子, 内藤 善久
    1996 年 58 巻 7 号 p. 611-616
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    代謝性アシドーシスにおけるカルシウム(Ca)摂取量の差がラットの骨代謝に及ぼす影響を骨形態計測学的に検索した. 動物はlow Ca (0.02%) diet (LCD), moderate low Ca (0.3%) diet (LmCD), standard Ca (0.62%) diet (SCD), moderate high Ca (1%) diet (HmCD)およびhigh Ca (3%) diet (HCD)に大別し, さらにそれぞれを飲水として1.8%塩化アンモニウム溶液を給与したAcidotic群と蒸留水を給与した対照群とに分けた. 実験30日後血液および骨2重標識した骨材料を採取した. 動脈血のpHは飼料中のCa含量を問わずAcidotic群が対照群に比べ有意の低値を示し, 血漿イオン化Ca濃度および尿中Ca排泄量は高値を示した. 大腿骨の強度および脛骨の骨量はLCD, LmCDおよびSCDで対照群に比べてAcidotic群が有意の低値を示した. Acidotic群間において, 類骨幅はLmCD, HmCDおよびHCDに比べてLCDが有意の高値を示し, 石灰化速度はHmCDおよびHCDに比べてLCDおよびLmCDが有意の高値を示した. 以上の結果から, 代謝性アシドーシスにおける骨のミネラル損失や脆弱化は, 低Ca摂取に伴う骨代謝の高回転によって促進されるが, それは充分なCa補給によって抑制できることが示唆された.
  • 椚山 巌, 伊藤 伸彦, 高垣 陽子, 林 創一, 曽根 健次, 後藤 広嗣, 斉藤 寿幸, 古川 義宣, 山口 敏朗
    1996 年 58 巻 7 号 p. 617-622
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Radioimmunoassay (RIA)により, ウシの血清および尿中β2-microglobulin (β2-M)濃度の正常範囲を把握するため, その測定手技を検討した. ウシの初乳から分離精製した蛋白質は, SDS-PAGEで分子量約11,600の単一のバンドを示した. この蛋白質と精製抗体のゲル内沈降反応を試みたところ, 一本の沈降線のみが観察された. また, アミノ酸配列は過去の報告と24位まで完全に一致し, さらにアミノ酸組成もほぼ一致した. これらのことから, 今回ウシの初乳から分離精製した蛋白質は, 高純度のウシβ2-Mであると考えられた. RIAの基礎的検討では, リン酸緩衝液(PBS)とβ2-Mをできる限り除去した尿(除去尿)をそれぞれ希釈液として用いて標準曲線を作成し, 両者の成績を比較した. PBSの標準曲線を使用した場合の同時再現性(n=10)の変動係数は1.7~4.6%であり, 除去尿を用いた場合では1.4~5.1%であった. また, 日差再現性(n=3)は7.1~11.5%(PBS), 12.3~13.5%(除去尿)であった. 添加回収試験では, PBSの標準曲線を使用した場合の回収率は160±19%と高値を示したが, 尿の標準曲線を用いた場合では98.4±7.9%と良好な値を示した. これらのことから, 除去尿を用いた方が高精度で, かつ正確に測定できることが分かった. 本システムを用いて健康なホルスタイン種ウシの尿および血清中β2-M濃度を測定し, その分布型を調べた. その結果, 尿は対数正規, 血清は正規分布することがわかった. β2-Mの平均濃度を算出すると, 尿は0.0305+0.0443-0.0210mg/l(Geometric mean±S.D., n=43), 血清では2.87±0.45mg/l(Arithmetic mean±S.D., n=26)であった. また, ウシ尿中β2-Mの日内変動を調べたところ, 一定の傾向は認められなかった.
  • Tanaka Neide Mariko, 塩田 邦郎, 能田 健, 廉沢 剛, 望月 学, 西村 亮平, 高橋 迪雄, 佐々木 伸雄
    1996 年 58 巻 7 号 p. 623-627
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬由来の骨肉腫培養細胞(POS細胞)を用い, in vitroにおける20α-hydroxysteroid dehydrogenase (20α-HSD)と腫瘍細胞増殖との関連を検討した. この骨肉腫細胞の平均20α-HSD活性値は0.85±0.26nmolNADPH/min mg proteinであった. 5×104個のPOS細胞を0.1~10μMのプロジェステロンとともにRPMI1640培養液中で2日間培養し, その細胞数の変化を測定した. その結果, POS細胞はプロジェステロンによって用量依存的に増殖が抑制された. さらに20α-HSDに拮抗作用を有する4種類のステロイド誘導体を用いて, 同様に0.1μMプロジェステロン存在下でのPOS細胞の増殖に対する影響を検討した. STZの添加により, プロジェステロン単独時よりさらに細胞数は減少したことから, STZによる20α-HSD阻害によって, プロジェステロンの細胞増殖抑制作用がより強く出現したものと考えられた.
  • 岡部 潤, 田島 茂行, 大和 修, 稲葉 睦, 萩原 紳太郎, 前出 吉光
    1996 年 58 巻 7 号 p. 629-634
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    軽症(奇形赤血球率30%前後)および重症(同70%以上)の奇形赤血球症を呈した9頭の1~2ヶ月齢の子ウシについてその原因を検討した. 血漿鉄濃度は, 重症牛1頭を除く8頭全てが正常値の20~30%に低下していた. このうち, 軽症牛7頭では加齢とともに血漿鉄が正常化するにつれて奇形赤血球が減少したが, 重症牛1頭では血漿鉄が正常化した後も高い奇形赤血球率を示した. イオン交換カラムクロマトグラフィーによるヘモグロビンの分析では, 軽症牛に比べて重症牛ではHb-2と仮称したヘモグロビンが著しく増加していた. 増加したHb-2は加齢とともに減少したが, それと一致して奇形赤血球も減少した. SDS~PAGEによる赤血球膜蛋白質の分析では, 重症牛の2頭および軽症牛の7頭中3頭において, バンド4.2が2本に分離した. 以上の結果から, 奇形赤血球の増加については, 軽症牛では血漿鉄の低下が, また重症牛ではヘモグロビンおよび赤血球膜蛋白の構成変化が関与していたものと推察された.
  • 谷口 隆秀, 谷口 理恵, 金川 弘司
    1996 年 58 巻 7 号 p. 635-640
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス胚を用いた核移植において, レシピエントとなる未受精卵の排卵後の経過時間が再構成胚の発生に与える影響について検討した. hCG投与14, 18あるいは22時間後に卵管内から回収した未受精卵から卵丘細胞・透明帯を除去し, さらに実体顕微鏡下でガラスマイクロニードルを用いて染色体を除去した除核未受精卵と2細胞期胚単一割球を電気融合処理し, 融合率・卵割率・胚盤胞への発生率について調べた. 除核未受精卵と単一割球の融合率は, 排卵後時間の経過した未受精卵を用いた系が, 排卵後間もない未受精卵を用いた系と比べ有意に高かった(14hr : 42.7-47.2% vs. 22hr: 75.3-77.6%, p<0.01). 再構成胚の卵割率でも同様な傾向がみられた(14hr: 56.3-61.2% vs. 22hr: 82.2-87.2%, p<0.01). 再構成胚の胚盤胞への発生率は全体的に低かったが, hCG投与22時間後の未受精卵と後期2細胞期胚の単一割球を用いた系(20.8%)は他の系(2.0-8.2%)と比べ有意に高い値を示した(p<0.01). これらの結果には. 排卵後時間の経過した未受精卵は排卵間もない未受精卵と比べ活性化されやすい性質が関係していると推察される.
  • 古澤 賢彦, 大森 保成, 渡辺 徹
    1996 年 58 巻 7 号 p. 641-646
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ膵島の神経線維における神経ペプチドおよび酵素の局在性を知るために, アビジン・ビオチン過酸化酵素複合体法および過酸化酵素抗過酸化酵素法による単染色および二重染色を実施した. 膵臓内神経節細胞はほとんどすべてがガラニンあるいは血管作動性腸ポリペプチド抗血清に, 半数以上が一酸化窒素合成酵素あるいはコレシストキニン抗血清に, さらに少数がボンベシンあるいはサブスタンスP抗血清に免疫陽性反応を示した. 神経節細胞の周囲には非常に多数の血管作動性腸ポリペプチドあるいはサブスタンスP免疫陽性神経終末が, 多くのボンベシンあるいは神経ペプチドY免疫陽性神経終末が, 中程度のカルシトニン遺伝子関連ペプチドあるいはペプチドヒスチジンイソロイシン免疫陽性神経終末が, そして少数の一酸化窒素合成酵素あるいはコレシストキニン免疫陽性神経終末が認められた. 膵島では血管作動性腸ポリペプチド免疫陽性神経終末がインスリン免疫陽性細胞集団の周囲に, チロシン水酸化酵素免疫陽性神経終末がインスリン免疫陽性細胞集団の周囲と内部に多く認められた. ガラニン, 神経ペプチドY, サブスタンスPおよびカルシトニン遺伝子関連ペプチド免疫陽性神経終末はインスリン抗血清に免疫陽性反応を示さない細胞集団の内部に多く認められた. これらの結果からネコの膵島における神経ペプチドの伝達および調節機構の形態学的な基礎が得られた.
  • 鈴木 忠彦, 御領 政信, 稲波 修, 植月 純也, 齋藤 真也, 懸田 憲二, 大嶋 孝子, 清水 宏彰, 岡部 幸子, 田中 嗣彦, 鎌 ...
    1996 年 58 巻 7 号 p. 647-654
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    チェジャック・ヒガシ症候群(CHS)黒毛和種牛および正常牛における血小板凝集反応の性格を調べた. CHS牛の血小板ではコラーゲン(Coll)凝集反応が抑制されていたが, ADP(10-20μM), トロンビン(0.5-1.0U/ml)およびホルボールエステル(3.2μM)では抑制されなかった. またCHS血小板のColl凝集(10-20μg/ml)は, 正常血小板で通常みられる形態変化を欠いていた. ADP(10μM)とColl(10μg/ml)の同時適用ではCHS血小板のColl凝集の回復がみられたが, ADPの前処置ではColl凝集を回復できなかったことから, 凝集刺激には閥値が存在すると思われた. あらかじめ10μM ADPと10μg/ml Collに暴露された正常血小板は, それ以上アラキドン酸(AA, 5mM)に反応することができなかったが, CHS血小板ではこのAA適用によって凝集反応が生じたことから, 正常牛ではAA凝集システムが最大限に活性化されているものの, CHS牛では抑制されている可能性が示唆された. さらにシクロオキシゲナーゼ阻害薬インドメタシン(1×10-5M)前処置により, 正常血小板ではColl反応性の著明な低下がみられたのに対して, CHS血小板ではインドメタシンへの感受性がなかった. このインドメタシン処置の正常血小板は, CHSのColl凝集パターンを再現した. 以上の成績から, CHS血小板におけるColl惹起凝集では, レセプター作動性の反応からAA代謝までの情報伝達経路が阻害されていることが示唆された.
  • 三品 美夏, 渡邊 俊文, 前田 浩人, 藤井 康一, 若尾 義人, 高橋 貢, 江島 博康
    1996 年 58 巻 7 号 p. 655-658
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全と診断された猫6例に対しサイクロスポリン・プレドニゾロンによる免疫抑制下で同種腎移植を行ったところ, 症例はすべて1週間以内に臨床症状および血清生化学検査値(BUN, Cr, IP)の改善が認められた. 腎性貧血に関しては3~4週間までに改善されたが, 移植後, 約2週間は適宜輸血を行う必要性があるものと思われた. 猫の腎移植においては, 術後合併症として膀胱-尿管吻合部の狭窄が問題となっており, 今回の症例でも2例において尿管狭窄による水腎症・水尿管とBUN, Crの上昇が認められた. そこで新しい試みとして, 4例に対し膀胱壁の一部を含めた尿管の移植を行ったところ, 尿管の狭窄を認めなかったことからこの方法は有用であると考えられた. 症例のうち2例は約3ヵ月で肺炎等が原因で死亡したが, 4例は移植後の急性拒絶反応や免疫抑制剤の副作用を認めることなく長期生存している.
  • 澤嶋 裕子, 澤嶋 効, 田浦 保穂, 島田 章則, 梅村 孝司
    1996 年 58 巻 7 号 p. 659-661
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    3歳の雌のヨークシャーテリア犬が盲目, 旋回運動, 後肢虚弱, および痙攣発作のため来院した. 特徴的臨床所見は慢性かつ進行性の大脳および脳幹性神経症状, 血清中脳型クレアチンキナーゼの上昇, 脳波における高振幅徐波の出現であり, 磁気共鳴断層撮影では大脳半球に病巣が多発していた. 死後の病理検査により, ヨークシャーテリアの壊死性脳炎と診断した. 本症の報告はわが国では初めてである.
  • 田中 雅治, 阿瀬 善也, 四宮 啓祐, 藤田 常夫
    1996 年 58 巻 7 号 p. 663-667
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    LPSを静脈内投与したラットの骨髄における好中球を伴う巨核球EPを形態学的に検索した. 電顕的に侵入好中球は巨核球の血小板分離膜に沿って存在し, 無傷のまま毛細血管腔へ移動する像とapoptosisの形態学的特徴を示す像がみられた. このような好中球の核はTUNEL陽性であった. 以上より, LPS投与で増加した骨髄内好中球が一部巨核球内で淘汰されている可能性が示唆された.
  • 高井 伸二, 福永 成昭, 落合 佐智世, 坂井 暢, 佐々木 由香子, 椿 志郎
    1996 年 58 巻 7 号 p. 669-672
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Rhodococcus equiは近年, ヒトHIV感染患者の日和見感染症の起因菌として注目している. しかし, ヒ卜の生活環境中における本菌毒力株の分布は明らかではない. そこで, 日本各地の115の公園と49の庭から土壌と砂を234検体採取し, R.equiの分離を試みたところ173検体(73.9%)から菌が分離された. 土壌及び砂から分離された菌数は2.5×101から1.2×105/gであった. 分離株1,294株について毒力関連抗原15-17kDa抗原と20kDa抗原をそれぞれのモノクローナル抗体を用いて検索したところ, 全て陰性であった. 以上の成績から, 公園や庭の土壌や砂には本菌の無毒株が広く分布されているが, ヒトの生活環境は強毒株と中等度毒力株により今のところ汚染されていないことが明らかとなった.
  • 平川 篤, 坂本 紘, 三角 一浩, 野崎 周作, 上村 利也, 清水 亮佑
    1996 年 58 巻 7 号 p. 673-675
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    動脈管開存症(PDA)のマルチーズに対し, 術前の心カテーテル検査中に高濃度酸素あるいは高濃度酸素投与に加えて低用量のNOを吸入させ肺動脈の血管拡張能を比較した. その結果, 肺動脈圧は高濃度酸素投与により低下しなかったが, 高濃度酸素投与と同時にNOを吸入させることにより低下した. 以上のことより, 犬におけるNOの吸入は, PDAの術前の肺血管拡張能を評価するのに安全で効果的な手段である可能性が示唆された.
  • 大永 博資, 加藤 篤, 北村 太祐, 藤野 美由紀, 長谷川 彰, 上田 進
    1996 年 58 巻 7 号 p. 677-679
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    抗-Leucocytozoon caulleryi抗体を用いたアフィニティ・カラムにより分画した第2代シゾントおよび血清抗原の分画タンパク質は鶏に対して防御免疫を付与し, 抗体が防御に関与するタンパク質を認識することを示した.
  • ファルカス ティボロ, 田中 淳, 甲斐 一成, 鹿江 雅光
    1996 年 58 巻 7 号 p. 681-684
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏貧血ウイルス(CAV)TK-5803株ゲノムの全塩基配列を決定した. この結果をCux-1, 26P4, 82-2, およびオーストラリア分離株と比較したところ, それぞれ37, 38, 48, 65個の塩基置換があった. アミノ酸の置換はVP3, VP2蛋白では夫々6個がC末1/2, 4個がC末3/4の領域でみられた. VP1蛋白では17ヶ所でアミノ酸の置換がみられたが, 場所は限局されていなかった.
  • 松本 英樹, 小口 洋子, 三宅 ゆかり, 増田 裕子, 政田 早苗, 久野 由博, 柴原 イネ, 高島 一昭, 山根 久恵, 山形 静夫, ...
    1996 年 58 巻 7 号 p. 685-687
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    実験的に作成した横隔膜欠損部にエポキシ化合物のデナコールEX-313液で処理した犬心膜をパッチグラフトとして使用した. 同腹犬5頭を供試し, 術後1, 2, 3, 4, および5ヶ月まで観察を行い剖検後肉眼的および組織学的検索を実施した. 全例において臨床的には異常を認めなかった. 組織学的には術後1ヶ月でグラフト表面は漿膜で被覆され新生血管の増生がみられ, 5ヶ月を経過したものでも移植時と同程度の柔和性を保っていた.
  • 田中 雅之, 國米 則秀, 小尾 岳士, 東原 りか, 詫間 博, 平松 計久, 清水 悠紀臣
    1996 年 58 巻 7 号 p. 689-691
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1985年から1995年にかけて36都道府県, 137農場で集めた鶏血清, 4,111検体について七面鳥鼻気管炎(TRT)ウイルスの抗体をELISAで調べた結果, 1988年から1995年にかけて抗体陽性鶏が認められたが. 1987年以前に集めた血清では抗体は検出できなかった. 抗体陽性率は, 1988年には2.2%であったが1995年には54.2%となった. 最近では, ブロイラーおよびレイヤー鶏の間で全国的に広く浸潤していることが明らかとなった. 以上のことから, TRTウイルスは, 1988年に日本に侵入し, その後, 全国的に広まったものと考えられた.
  • 渋谷 一元, 田島 正典, 斎藤 敏樹, 渋谷 延子, 木崎 秀行, 山手 丈至, 布谷 鉄夫
    1996 年 58 巻 7 号 p. 693-697
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    老齢の雄及び雌のFischer 344ラットに自然発生した上皮型の中皮腫から, 新たな培養細胞系MeMS及びMeFSをそれぞれ樹立した. 形態学的にMeMS及びMeFSは上皮性の表現型を発現した. 両細胞系のケラチンとビメンチンの同時発現が, 免疫細胞化学的及び中間系フィラメント蛋白の一次元電気泳動及び免疫ブロッティングによって確認された. MeMS及びMeFS両者のヒアルロン酸の産生が高速液体クロマトグラフィーを用いた分析で証明された. 両細胞系はラットの中皮腫の生物学的性状研究のための有用なモデルと考えられる.
  • 花見 正幸, 松本 浩良, 野村 靖夫, 高橋 令冶
    1996 年 58 巻 7 号 p. 699-702
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イソプロテレノール(ISP), ヒドララジン(HYD), カフェイン(CAF), シクロホスファミド(CYC)とアドリアマイシン(ADR)をLD50または1/10 LD50でラットに一回静脈内投与し, 1 hrと4 hr後の心筋病変の病理組織学的評価を行った. ISP群でLD50投与1 hr及び4 hr後と1/10 LD50投与4 hr後に, HYD, CAFとCYC群でLD50投与4 hr後に, 心筋線維の均質で強い好酸性化, 過収縮帯形成と断裂からなる病変を認めた. 病変は, ISP, HYDとCAF群で左心室壁内側1/3と左心室乳頭筋, CYC群では左右心室心筋全域に分布していた. ADR群では心筋病変は誘発されなかった.
  • Dae-Yong KIM, Jeong-Rae KIM, H.Wayne TAYLOR, Yong-Soon LEE
    1996 年 58 巻 7 号 p. 703-706
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    13歳の猫が原発性節外性リンパ肉腫のために呼吸困難と運動能力低下を繰り返した. 罹患気管壁は一様な腫瘍性リンパ球の浸潤により著しく肥厚し, 内腔は重度に狭窄していた. 組織所見, ネコIgAに対する免疫染色陽性所見, および特殊染色に基づいて診断が下された.
  • 西森 知子, 山田 俊冶, 清水 実嗣
    1996 年 58 巻 7 号 p. 707-710
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚コレラ(CSF)ウイルス強毒ALD株とワクチンGPE~株に対する単クローン抗体(MAb)を20株作製した. これらのMAbは, CSFウイルスと牛ウイルス性下痢・粘膜病(BVD-MD)ウイルスに対する反応性から7群に分類された. MAbパネルにより, 20株のCSFウイルスは6タイプに分かれ, CSFウイルスとBVD-MDウイルスの識別だけでなく野外分離株とワクチンGPE~株の識別が可能であった.
  • 斎藤 慶子, 樋口 剛史, 倉田 亜紀, 福安 嗣昭, 芦田 淨美
    1996 年 58 巻 7 号 p. 711-713
    発行日: 1996/07/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus chromogenes色素非産生株は健康および滲出性皮膚炎豚から数多く分離された. これら分離株の生化学的性状は色素産生性以外S.chromogenes基準株と一致し, DNA-DNAハイブリダイゼーションでは, 基準株と高い相同性を示した.
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