可視化情報学会誌
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渦流れが示唆する複雑流動の捉え方
亀本 喬司
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2010 年 30 巻 116 号 p. 9-14

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抄録

一般に渦流れを可視化観察すると, その渦がどのように生まれ, 目の前でどのように変形し, どこへ流れ去るかを知ることに興味が向けられる. 多くの場合, 観察者は渦の回転運動に注目し, 渦の来し方, 行く末を見届けようと, 渦と共に視線を走らせる. この観察者の姿勢こそいわゆるラグランジュ系の流体力学であり, 流れに乗って渦運動を観察するほうが, 空間に視線を固定してそこを通過する流れを見つめるオイラー系よりも渦流れの特徴を捉え易い.
本文では, 渦流れの基本的な特性をラグランジュ系の視点から見直し, 境界層のはく離や渦形成のメカニズムを平易に理解するための着眼点について説明する. さらに, ラグランジュ系の流れ解析法であるラグラジュ渦法(Lagrangian Vortex Method)とそれによる数値解析例を紹介し, 複雑な渦流れを対象とする数値可視化風洞としての有用性を紹介する.

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© 2010 社団法人 可視化情報学会
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