抄録
本稿は計算機の発達とともにCFDがどのように発展してきたかを概観し,現在の先端的なCFDの状況を具体的な例をもとに示すとともに,今後のCFDの発展の方向とそれを実現するために解決すべき諸課題に関して筆者の私見を述べたものである.今後,CFDの大規模化はますます進展し,数年後には実用的なレベルでDNSに匹敵する精度の予測が可能になるものと予想される.このような高精度・大規模LES計算は流体構造連成解析,流体音解析,燃焼流れ解析,混相流解析,キャビテーション流れ解析などの解析モデルの高度化にも寄与し,このような連成解析の実用化も進展することが期待される.一方,今後のCFDのもう一つの発展の方向性として,超高速なRANS計算の実現が考えられ,CFDによる本格的な最適設計が可能になることも期待される.これらの期待を現実のものにするためには,超並列計算の実現,大規模データの前処理・後処理技術の確立,マルチスケール・マルチフィジックスモデルの高度化など,解決しなければならない課題も数多く残されていることを指摘した.