抄録
天文学の分野では粒子シミュレーションは頻繁に行われる。我々は以前より粒子データの可視化のためのツールを作成し、特に教育用、広報普及用を中心に映像の作成を行ってきた。今日、コンピュータ技術の進歩により、ますます大規模な粒子シミュレーションが行われている。そうした大規模データに対応するため我々は新たなツール”Zindaiji3”の開発を行っている。現在の目的は、1台のPCを用いてできるだけ速く、大量の粒子データを扱えるツールである。現在、1千万から1億ほどの粒子データから映像作成が可能になっている。Zindaiji3の機能や、実装の工夫などを紹介し、描画速度やメモリの上限から、どこまで大規模なデータなら1台のPCで可視化(映像化)をおこなえるかを議論する。理想的な場合では10億程度の粒子データを1台のPCでの映像化することが可能と見積もられる。10億粒子というスケールは、ある種の計算では京コンピュータを用いて行う計算のスケールとなっている。そうしたデータではかろうじてPC一台でも可視化を行える。京ではさらに大規模な粒子計算も予定されており、そういったデータの可視化には、少なくともPCクラスターなどでの可視化が必要になる。