可視化情報学会誌
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可視化技術の航空機開発風洞試験への適用
長谷 卓
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2015 年 35 巻 138 号 p. 2-7

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抄録

 航空機の開発では,空力,構造,装備等の多岐に渡る検討が必要になるが,特に空力では,性能,安定・操縦性,空力荷重等に関連する空力設計や空力特性改善のための空力デバイス検討が主に実施されている.それらの空力設計,空力デバイス検討には数値流体解析(CFD; Computational Fluid Dynamics)と併せて風洞試験(WTT; Wind Tunnel Test)が広く利用されており,両者から取得されるデータを組み合わせて航空機の空力設計が実施されている.特に風洞試験では縮尺模型を風洞にセットして試験を行い,模型に内蔵した各種計測機器を利用して機体に作用する6分力(3軸まわりの力及びモーメント)や空力舵面に作用するヒンジモーメント,機体表面圧力といった空力データを取得し空力設計に供しているが,機体周りの流れの様相を正しく理解することは空力設計には不可欠なものであり,境界層の特性,剥離の規模,衝撃波の位置といった流れの現象を明らかにした上で,各種計測機器にて取得した空力データを正しく使用することが重要である.航空機開発の風洞試験では,機体周りの流れを把握するため,古くから気流可視化試験が実施されてきており,航空機空力設計において重要な要素技術の一つとなっている.本稿では,航空機開発風洞試験で実施される気流の可視化試験について,従来実施されてきた可視化技術や近年実用化されてきている可視化技術の代表例を紹介し,今後航空機開発としての可視化技術に期待される事項をまとめる.

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© 2015 社団法人 可視化情報学会
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