2019 年 39 巻 154 号 p. 26-31
近年,固液界面水の微視的構造を測定する技術が発展し,無機鉱物から有機分子までさまざまな物質表面の溶媒和構造が明らかになっている.本稿では,界面水の空間分布を分子スケールで可視化できる液中動作型周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いた水和構造の観察例を紹介する.炭酸カルシウム結晶の観察では添加物による水和構造変化を,粘土鉱物の観察では水和構造のカチオン種依存性について説明しながら,固液界面の微視的観察が今後どのようなトピックに波及していくか,その展望について述べる.