2023 年 43 巻 167 号 p. 12-15
血行力学分野では,血管と血液の応力相互作用関係を知ることが非常に重要である.例えば,クモ膜下出血の起因となる脳動脈瘤は,血管内を流動する血液の壁面せん断応力が原因で破裂するというCFDによる報告がある.しかしながら,ソフトな血管のダイナミクスや血液の非ニュートン性などの複雑な構造変形を考慮した流体構造錬成問題のCFDは非常に困難である.そこで筆者は,新たな応力場の可視化技術として,高速度光弾性法(高速度偏光カメラを用いた光弾性法)を提案する.この技術の活用により,「固体」応力場の計測だけでなく,困難とされてきた「流体」応力場の非定常・非接触計測に成功し,最近では血管と血液を模擬した高分子ゲル製流路および液体高分子の応力相互作用の実験的可視化を達成した.本研究は研究初期の段階ではあるが,今後,より現実に近い生体条件を考慮したin vitro実験に発展することが期待される.