2023 年 43 巻 167 号 p. 7-11
高分子材料は軽量や柔軟などの他の材料にはない特性から広く利用されている.近年は強度も向上し,輸送機器の構造材料としても利用が進められており,今後も持続可能な社会の実現に向けて,用途の拡大と需要の増加が期待される.しかし,高分子は概念の提唱からまだ100年と歴史が浅く,破壊や疲労,劣化現象の理解は十分ではない.これら現象のモニタリングと機構解明による耐久性・安全性・信頼性の向上は喫緊の課題である.そのため,高分子材料に生じる力やダメージを可視化する方法が世界的に研究されてきた.本稿では,力に応答して色調や発光特性が変化する機能性色素を用いた方法について,これまでの研究を概観する.この方法は材料の物性を大きく損ねることなく,分子レベルで生じた力やダメージを可視化できるため,上記現象の詳細な評価・理解が期待できる.