抄録
乳酸発酵した水産廃棄物の給与が豚肉の脂肪酸組成,色調,酸化安定性および官能特性に及ぼす影響について検討した.マアジのあらを主体とする水産廃棄物に乳酸菌スターターを添加,発酵し,乳酸発酵水産副生物(LFB)を調製した.このLFBと配合飼料を等量混合し,ビタミンとミネラル混合物を添加した試験飼料を調製した.これを給与して生産した豚ロース肉の品質について,配合飼料給与(配合区)および配合飼料の5%を市販魚粉(魚粉区)に置換した飼料により生産した豚ロース肉と比較した.LFB給与は赤身部分の肉色,ドリップロス,皮下脂肪の融点に顕著な影響を及ぼさなかった.しかし,LFB区の豚肉は脂肪色が若干褐変する傾向が認められ,脂肪含量が配合区より低くなった.豚肉脂肪の性質に関しては,LFB区の豚肉は,他の区と比較して,エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)含量が高かった(P<0.01).一方,脂肪中のリノール酸含量は減少し,これに伴ってn-6/n-3比が改善された.しかし,LFB区の豚肉は酸化安定性が低下し,1週間の冷蔵保存後のTBARS値は他の試験区の値より高かった.加えて,官能検査では匂いを中心に評価が低かった.これらの要因として,EPAやDHA含量の増加に伴う酸化ポテンシャルの上昇や,飼料中の低いビタミンE含量の影響などが考えられた.