非加熱のリサイクル飼料製造法を開発する目的で,宮崎県内で発生した豆腐製造残さ(オカラ),親サトイモ発酵物等を混合した後,バッグ内で乳酸発酵させてオカラサイレージを調製した.さらに,このオカラサイレージを15%,30%および60%含有し,トウモロコシ等で粗タンパク質量を調整した試験飼料を作製した.これらの飼料を仕上期の肥育豚に60日間自由摂食させた.同時に市販配合飼料を給与する試験区も設け,生産性の比較等を行った.肥育豚の発育成績はオカラサイレージ15%給与区のみが他の3区と比較して有意に低下した(P<0.05).サイレージ30%区および60%区のロース肉は,他の2区のそれと比較して,脂肪含量が高く,剪断力価が低くなった.また,オカラサイレージの給与はロース肉の脂肪酸組成に明確な影響を及ぼさず,脂肪融点について試験区間で有意な差を認めなかった.また,他の2区と比較して,サイレージ30%と60%給与区では多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比およびn-6/n-3比が若干低下した.また,市販配合飼料を給与した豚と比較して,オカラサイレージを給与した豚の盲腸内容物では大腸菌群,エンテロバクター科細菌,および大腸菌の菌数が有意に減少した(P<0.05).以上の結果から,オカラサイレージの肥育豚への給与は豚肉の品質を低下させず,肥育豚の衛生状態を改善できることが示唆された.