西表島における生育特性からみた適草種の選定を目的とし,既存の基幹3草種(ギニアグラス,ジャイアントスターグラスおよびローズグラス)を含む暖地型イネ科牧草計13草種・品種の乾物生産性を比較した.個体群生長速度(CGR)は,春期および夏期では,他の草種・品種と比較してBrachiaria属2品種およびSetaria属2品種で高かったのに対して,冬期では既存の3草種で高くなる傾向を示した.旱魃傾向が認められた2年目の夏期において,ローズグラスの生育が著しく低下したことから,他の草種・品種と比較して耐旱性に劣ると考えられた.主成分分析の結果,第2主成分までの累積寄与率は85%であった.第1主成分が示す潜在的な乾物生産性の高さ,第2主成分が示す季節生産性の抑制程度から,本地域における新規導入草種としてBrachiaria属2品種およびSetaria属2品種が有望であると評価され,特にBrachiaria属2品種は,降雨量に関わらず夏期の生産性に優れていた.