日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
アジア在来鶏および改良鶏における脱共役タンパク質遺伝子変異の分布
村田 修治郎河邊 弘太郎田浦 悟下桐 猛川本 康博岡本 新
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2013 年 56 巻 1 号 p. 61-66

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抄録

肉用鶏は,増体および肉質の向上をその主要な改良目標としている.ところが,従来の筋肉量を中 心とした増体の改良を行うと,それに伴って,腹腔内脂肪も増加させてしまうことが問題視されている.鳥類の脱共役タンパク質(UCP3)は脂質代謝に影響を及ぼすことが知られている.本研究ではニワトリUCP3遺伝子において既に増体および腹腔内脂肪量との関連が報告されている一塩基多型(SNP)である1270番目のCからTへの変異(g.1270C>T)ならびに1316番目のTからCへの変異(g.1316T>C)について,11カ国のアジア在来鶏ならびに4品種の改良鶏のディプロタイプを検出し,ハプロタイプ頻度の分布を明らかした. PCR-制限酵素切断片長多型法によって7種類のディプロタイプが観察された.全体としてハプロタイプ頻度は 0.66(CT),0.27(CC),0.02(TT)および0.05(TC)であった.本研究の結果から,ニワトリUCP3遺伝子の2箇所のSNPから構成されるハプロタイプはその頻度には偏りがあるものの,全てのハプロタイプが在来鶏のみならず一部の改良種にも残っており,今後の肉用鶏の選抜への利用について検討する価値があるものと思われた.

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© 2013年日本暖地畜産学会
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