日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
黒毛和種去勢牛の肥育後期における米ぬかまたは脂肪酸カルシウム添加飼料の給与が産肉性,食肉の理化学特性ならびに官能特性に及ぼす影響
橋元 大介岩元 禎川口 雅彦中西 良孝
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2013 年 56 巻 2 号 p. 151-157

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抄録

米ぬか(以下,RB)または米胚芽由来の脂肪酸カルシウム(以下,CSFA)添加飼料が黒毛和種去勢牛 の産肉性,理化学特性ならびに官能特性に及ぼす影響を明らかにするために肥育試験および肉の官能評価を行った.黒毛和種去勢牛(9 ヵ月齢)11 頭を供試し,15 ヵ月齢まで同一の肥育前・後期用配合飼料を粗飼料とともに給与した後,16 ヵ月齢以降,肥育後期用配合飼料(以下,C)を給与する対照区(4 頭),C にRB を原物当たり8.0% 添加するRB 区(3 頭)およびC にCSFA を原物当たり1.5% 添加するCSFA 区(4 頭)に割り当てて,28 ヵ月齢までの12 ヵ月間,各飼料を給与した.供試牛の飼料摂取量および発育,枝肉格付成績等の産肉性に各区間差はみられなかった.また,牛肉脂肪中の不飽和脂肪酸(以下,USFA)および一価不飽和脂肪酸(以下,MUFA)割合は対照区よりもRB およびCSFA 区で高く,脂肪融点が低くなる傾向が認められた(P <0.1)が,RB 区とCSFA 区の間で差はみられなかった.さらに,対照区と比べてCSFA 区の牛肉は香りと風味が良く,総合的に美味しいと評価された.以上から,黒毛和種去勢牛の飼料へのRB またはCSFA 添加は,産肉性に影響を及ぼさないものの,牛肉中のUSFA および MUFA 割合を高める傾向をもたらし,特にCSFA 添加の場合には食味性を向上させることが示された.

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© 2013年 日本暖地畜産学会
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