サーモクロンは温度を連続記録できる安価で最小のデータロガーである。これを腹腔内に埋め込むことで中核温の記録が可能となり、それにより小型内温性動物の温熱生理に関する研究が飛躍的に進展した。しかし、完全防水ではないため、腹腔内に埋め込む前に防水処理を必要とするが、その手法を具体的に記した論文はない。そこで、本研究では、パラフィンと樹脂を被覆材とする防水処理の手順を記し、本被覆材による温度記録精度の信頼性について検討した。防水処理は融解した被覆材に木綿糸を結びつけたサーモクロンを沈め、引き上げることで行った。本被覆材による防水処理は温度記録精度に影響しなかった。我々は、本手法で防水処理したサーモクロンを小型種の腹腔内に留置し、恒常的に体液に曝露される条件下で中核温の連続記録に成功している。このことは、家畜を含む大型種においては測定部位を選ばない体温モニタリングを可能にすると考えられた。