抄録
寒地型牧草よりも低い採食性を示す暖地型イネ科牧草について,その一要因と考えられるNDF
の消化特性を寒地型牧草と比較した.ギニアグラス,ローズグラス,ルジグラスを,4 段階(草高50 cm,止
葉期,出穂開始期,出穂開始後10 日目)の刈取り間隔で栽培し,細胞壁構成成分含量,CP 含量,葉身重比
率等の変化を調査した.これらの材料草とイタリアンライグラス2 番草(IR)のNDF 消化特性を,ルーメン
微生物を用いた人工ルーメン法(12,24,48,72 時間培養)で比較した.各培養時間のNDF 消化率は,いず
れの材料草も,またいずれの刈取り時期においてもIR の値を上回ることはなかった.培養24 時間時点にお
けるNDF 消化率は,いずれの刈取り時期においても,材料草とIR との差が大きかった.これらのことから,
NDF 消化率の培養時間に伴う推移は24 時間までの消化速度が暖地型イネ科牧草の方が遅いことが特徴的と考
えられた.