日本暖地畜産学会報
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59 巻, 1 号
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原著論文(一般論文)
  • 二宮 京平, 吉岡 直美, 本田 直樹, 石垣 元気, 小林 郁雄, 福山 喜一
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 59 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    寒地型牧草よりも低い採食性を示す暖地型イネ科牧草について,その一要因と考えられるNDF の消化特性を寒地型牧草と比較した.ギニアグラス,ローズグラス,ルジグラスを,4 段階(草高50 cm,止 葉期,出穂開始期,出穂開始後10 日目)の刈取り間隔で栽培し,細胞壁構成成分含量,CP 含量,葉身重比 率等の変化を調査した.これらの材料草とイタリアンライグラス2 番草(IR)のNDF 消化特性を,ルーメン 微生物を用いた人工ルーメン法(12,24,48,72 時間培養)で比較した.各培養時間のNDF 消化率は,いず れの材料草も,またいずれの刈取り時期においてもIR の値を上回ることはなかった.培養24 時間時点にお けるNDF 消化率は,いずれの刈取り時期においても,材料草とIR との差が大きかった.これらのことから, NDF 消化率の培養時間に伴う推移は24 時間までの消化速度が暖地型イネ科牧草の方が遅いことが特徴的と考 えられた.
  • 横石 和也, 馬木 康隆, 福井 弘之, 松尾 守展, 橘 保宏
    原稿種別: 一般論文
    2014 年 59 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    前作の栽培作物および耕起の有無により,4 種類の前作条件(出穂期刈イタリアンライグラス (IR)跡の不耕起地,伸長期刈IR 跡の不耕起地,前年作トウモロコシ跡の不耕起地および出穂期刈IR 跡の耕 起地)と2 水準の土壌水分量を設け,不耕起対応播種機で播種されたトウモロコシの播種深度と苗立率を調査 した.残根量が多い出穂期刈IR 跡地では,散水により土壌水分量を増加させると,土壌硬度が低下し,深く 播種することが可能となった.播種深度1.9 cm から5.6 cm において3.0 cm より深く播種した場合,耕起地 に対する不耕起地の苗立率の比は同一の散水条件下で87.5%から104.3% となった.以上の結果より,前作の 残根量が多い不耕起地でも,降雨後などで土壌水分量が高ければ,シングルディスク方式の不耕起播種機で深 さ3.0 cm より深く播種することは可能であり,慣行の耕起地と同程度の苗立率を得ることができると示唆さ れた.
  • 平山 琢二, 平川 守彦, 及川 卓郎, 廬 尚建, 林 英明
    原稿種別: 要 約
    2015 年 59 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    ヤギ汁の食味試験による官能評価を行う目的で、沖縄県内において最も普通に食されている手法で調理した ヤギ汁を用いて、食味試験を実施した。食味試験は男性83 名、女性40 名の計123 名を無作為に抽出して実施 した。試験は味、香り、硬さ、および脂っこさの項目について5 段階評価(最も良い:2、良い:1、普通:0、 悪い:-1、最も悪い:-2)として、試食後に速やかに記入させた。  女性は男性に比べヤギ汁の肉を堅く評価し、さらに脂っこいと評価した(P < 0.05)。またヤギ汁肉に対す る硬さは21-60 歳までが他の年代よりも有意に硬いと評価した(P < 0.05)。被験者の出身地では、地元の人が 県外の人よりもヤギ汁の匂いおよび総合評価において高く評価した(P < 0.05)。ヤギ汁の経験では、ヤギ汁 を好む人が未経験および嫌いとする人に比べ有意に味、香り、硬さ、脂っこさおよび総合評価の全ての項目に おいて高く評価した(P < 0.05)。今回の試験から、ヤギ汁の経験が評価に大きな影響を与えていることが示 唆された。これらの結果から、今後、ヤギ肉の消費拡大を検討する場合、ヤギ汁の食経験をいかに拡げていく かが重要であると考えられた。その上で、女性にも食べやすいような調理法の工夫などが必要であろうと考え られる。
  • 神谷 充, 服部 育男, 常石 英作, 神谷 裕子, 林 義朗
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 59 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    カンショ焼酎粕濃縮液の給与が胸最長筋中α - トコフェロール含量に及ぼす影響を調べるため, 黒毛和種去勢牛(平均23 ヵ月齢,平均体重667 kg)に対して,配合飼料を給与した対照区(5 頭),乾物比で 配合飼料8 割とカンショ焼酎粕濃縮液2 割の混合飼料を給与した試験区(5 頭) を比較した.濃厚飼料摂取量は 対照区7.4 kgDM/ 日に対して試験区8.3 kgDM/ 日が高い傾向にあった(P < 0.10)が,推定TDN 摂取量は 対照区6.6 kg/ 日,試験区7.2 kg/ 日で有意差はなかった.枝肉成績,胸最長筋の粗脂肪含量および脂肪酸組 成に有意差はなかったが,胸最長筋中α - トコフェロール含量は対照区0.26 mg/100g に対して,試験区0.44 mg/100g で有意差が認められた(P < 0.01).以上の結果から,カンショ焼酎粕濃縮液を肥育後期に給与する ことで胸最長筋中α - トコフェロール含量を高めることが確認できた.
原著論文(短報論文)
  • 中村 好德, 金子 真, 小林 良次
    原稿種別: 短報論文
    2015 年 59 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    周年放牧肥育牛(褐毛和種去勢雄牛10 頭,黒毛和種去勢雄牛11 頭;試験開始月齢4 ~ 10 ヵ 月齢)の血液中ミネラル(Na,K,Cl,P,Mg ならびにCa)バランスについて品種および季節による比較を 行った.品種および季節を要因とした二元配置分散分析を行ったところ,Cl およびMg 濃度にそれぞれ交互 作用が認められた.一方,その他のミネラルについて交互作用は認められなかったが,Na,P ならびにCa 濃 度は品種および季節の影響が認められた.また,文献によるウシ血液中のミネラル基準値と比べると,特にP 濃度が高くCa 濃度が低い傾向にあり,給与飼料の影響が示唆された.
原著論文(技術報告)
  • 神谷 充, 服部 育男, 永吉 輝彦, 西村 直人, 春日 久志, 吉田 広和, 川田 隆博, 井 将也, 常石 英作, 林 義朗
    原稿種別: 技術報告
    2015 年 59 巻 1 号 p. 33-35
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    飼料用サトウキビサイレージ,輸入エンバク乾草,トウモロコシ圧片,大豆粕を混合した発 酵TMR の給与が黒毛和種子牛の増体成績に及ぼす影響を検討するため,粗飼料として輸入乾草を給与した対 照区(去勢牛4 頭,雌牛4 頭),TMR を給与した試験区(去勢牛4 頭,雌牛4 頭)の2 区について2.5 ヵ月間 の給与試験を実施した.配合飼料給与量(kg 原物/ 日/ 頭)は去勢牛では対照区4 kg,試験区3.5 kg,雌牛 では対照区3 kg,試験区2.5 kg に設定,粗飼料は飽食条件で給与した.平均日増体量(kg/ 日)は去勢牛で は対照区1.00 kg/ 日,試験区0.98 kg/ 日,雌牛では対照区0.88 kg/ 日,試験区0.99 kg/ 日であり,対照区と 試験区で差は認められなかった.以上の結果から,飼料用サトウキビサイレージを乾草や濃厚飼料と混合した 発酵TMR にすることで,黒毛和種子牛育成期に給与している輸入乾草を代替できることが分かった.
  • 本多 昭幸, 嶋澤 光一
    原稿種別: 技術報告
    2015 年 59 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    規格外バレイショをブタ用リキッド飼料原料に利用するためのサイレージ調製条件について 検討した.試験1 では,フスマの割合,バレイショの加熱および糖蜜の添加を要因とした調製条件が発酵品質 に及ぼす影響を調査した.試験2 では,生バレイショ12 t,脱脂米ぬか5 t およびシロップ廃液0.5 t を混合し, バンカーサイロでのサイレージ調製を行い,発酵品質および飼料成分の変動を調査した.試験1 において,フ スマの配合割合はサイレージの水分に影響するが,pH およびVBN/TN には影響しなかった.バレイショの 加熱処理はVBN/TN を低下させた.また,糖蜜添加の影響は認められなかった.試験2 のサイレージは乳酸 含量が高く,pH およびVBN/TN が低く,成分変動も小さかった.以上より,規格外バレイショをサイレー ジ調製する場合,脱脂米ぬかとシロップ廃液を適切に混合することで良質のサイレージが得られることが実証 された.
  • 中村 好德, 金子 真, 小林 良次
    原稿種別: 技術報告
    2015 年 59 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/02
    ジャーナル フリー
    牛枝肉取引規格を用いて,同じ2 等級同士を比較し周年放牧肥育牛と慣行肥育牛の肉質を区 別できるかについて検討した.周年放牧肥育牛(19 頭:褐毛和種去勢雄牛)ならびに慣行肥育牛(33 頭:褐 毛和種去勢雄牛,17 頭:ホルスタイン種去勢雄牛)を用いて,肉質等級2 等級同士を比較したところ,牛枝 肉取引規格11 項目中9 項目で周年放牧肥育牛と慣行肥育牛の間で違いが見られ(P < 0.05),特に周年放牧肥 育牛は牛肉色基準および牛脂肪色基準の値(No.)が高かった(P < 0.05).また,周年放牧肥育牛と慣行肥育 牛(褐毛和種およびホルスタイン種)について判別分析における正答率はそれぞれ100%であった.これらの ことから,現行の枝肉評価方法を用いて同じ等級でも周年放牧肥育牛の分類は可能であることが示唆された.
研究紹介
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