日本暖地畜産学会報
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原著論文(一般論文)
施肥によりDCAD 調整を行った粗飼料の給与が 妊娠牛のミネラル代謝に及ぼす影響
神谷 裕子加藤 直樹服部 育男澤戸 利衣田中 正仁
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2019 年 62 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

妊娠牛8 頭を供試して,主として塩素(Cl)含量の違いにより飼料中カチオンアニオン差(DCAD)が異なる粗飼料の給与が分娩前後のミネラル代謝に及ぼす影響を検討した.粗飼料は,カリウムおよび窒素において,塩素系(低DCAD 区)または硫酸系肥料(高DCAD 区)を用いて栽培した.供試したイタリアンライグラスおよびトウモロコシのDCAD はそれぞれ,低DCAD 区で268.6,46.7 mEq/kgDM,高DCAD 区で497.0,156.7 mEq/kgDM であった.これらを用いた妊娠牛用完全混合飼料(TMR)のDCAD は低DCAD 区で240.8 mEq/kgDM,高DCAD 区で309.8 mEq/kgDM であった.分娩前および分娩後のTMR 摂取量には,両区で有意な差は認められなかった.分娩前の尿pH は,高DCAD 区と比較し低DCAD 区で有意に低くなった.高DCAD 区と比較し低DCAD 区では尿中Ca 排泄量および尿中Cl 排泄量が有意に増加した.血漿中Ca 濃度は,分娩日に低DCAD 区で高い傾向を示した.

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© 2019 日本暖地畜産学会
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