交雑種去勢雄牛8頭の半腱様筋を用いて,氷点下(-1℃)の未凍結貯蔵による包装種別(簡易および真空包装)の違いが牛部分肉のドリップロスに及ぼす影響を調査した.0,36,72ならびに108日間の貯蔵試験を行ったところ,官能検査は貯蔵108日目の簡易包装のみに異常(腐敗臭)が認められた.また,簡易包装のみ,ドリップロスおよびpHは貯蔵0日目に比べて貯蔵72日目以降で有意に高かった.水分含量は貯蔵108日目に包装種別で違いが認められた.遠心保水性,一般生菌数ならびに凝固点に包装種別の違いは認められなかった.一方,包装種別に関係なく筋肉細胞間隙の拡大や細胞内の崩壊は確認されず,部分肉中央部の筋肉組織構造は貯蔵中も維持された.以上より,-1℃貯蔵では貯蔵72日目までは包装種別に関係なく肉質は維持されるが,それ以降は包装種別の影響を受けることが示唆された.