日本暖地畜産学会報
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青海チベット高原の野草地におけるヤクと緬羊の放牧実験区における裸地率の変動
李 暁琴宋 維茹宋 仁徳李 国梅西脇 亜也
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2021 年 64 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

中国青海省の標高約4350m付近の暖季放牧地にヤク放牧実験区と緬羊放牧実験区を複数設定して放牧家畜間,ブロック間,調査回次間の裸地率の変動を調査することで,放牧地の荒廃要因を明らかにすることを試みた.放牧家畜とブロック,調査回次が裸地率に及ぼす影響を三元配置分散分析によって検討した結果,放牧家畜の違いによる草地の荒廃に与える影響の程度は検出されなかったが,ブロック間の差は検出されたことから空間的変動が大きいことと,調査回次による差は検出されたことから,放牧実験区設置後の時間経過と共に植生が回復したことが明らかとなった.緬羊とヤクの放牧実験区外に隣接した暖季放牧地でも同様の調査を行った結果,放牧実験区とは異なり,時間経過と共に植生は回復しておらず,寒季の放牧が裸地率を増加させる可能性が高いと考えられた.以上の結果から,放牧家畜の違いよりも,暖季放牧地における寒季の放牧の方がこの地域の草地荒廃の原因となっていることが示唆された.

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© 2021 日本暖地畜産学会
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