日本暖地畜産学会報
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64 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 家守 紹光
    2021 年 64 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/03
    ジャーナル フリー
  • 新垣 大地, 及川 卓郎
    2021 年 64 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/03
    ジャーナル フリー

    沖縄県黒毛和種は,暑熱ストレスに対する順化により空胎期間(DO)を減少させるという仮説を検証するため,体感温度順化の効果について検討した.沖縄県内で2008年から2016年に分娩した雌牛の記録からDOを抽出した.分娩後のDOは21d以下を除き,22dから50dを50d,250d以上を250dと設定した.対象地域は沖縄島地域と八重山地域とし,温湿度指数(THI)を参考に暑熱期を上昇期と下降期に,その他の時期を熱的中立期に分けて分析した.下降期のDOを暑熱ストレスに順化済みの反応と仮定し,この時期と上昇期の未順化時期を比較した.線形モデル分析では,2乗平均平方根誤差(RMSE)を用い上昇期のDO推定値の誤差が最小となるTHI補正値を算出した.その結果,上昇期に該当するTHIで+7程度の補正値が得られ,上昇期は下降期よりTHI +7だけ温度未順化によるストレス反応がDOにおいて示された.本研究の結果,暑熱ストレス発生時期のうち,特に上昇期に注目した研究調査がDOの改善に有効であることが示された.

  • 李 暁琴, 宋 維茹, 宋 仁徳, 李 国梅, 西脇 亜也
    2021 年 64 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/03
    ジャーナル フリー

    中国青海省の標高約4350m付近の暖季放牧地にヤク放牧実験区と緬羊放牧実験区を複数設定して放牧家畜間,ブロック間,調査回次間の裸地率の変動を調査することで,放牧地の荒廃要因を明らかにすることを試みた.放牧家畜とブロック,調査回次が裸地率に及ぼす影響を三元配置分散分析によって検討した結果,放牧家畜の違いによる草地の荒廃に与える影響の程度は検出されなかったが,ブロック間の差は検出されたことから空間的変動が大きいことと,調査回次による差は検出されたことから,放牧実験区設置後の時間経過と共に植生が回復したことが明らかとなった.緬羊とヤクの放牧実験区外に隣接した暖季放牧地でも同様の調査を行った結果,放牧実験区とは異なり,時間経過と共に植生は回復しておらず,寒季の放牧が裸地率を増加させる可能性が高いと考えられた.以上の結果から,放牧家畜の違いよりも,暖季放牧地における寒季の放牧の方がこの地域の草地荒廃の原因となっていることが示唆された.

  • 深川 聡, 大浦 昭寛, 石井 康之
    2021 年 64 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/03
    ジャーナル フリー

    西南暖地における矮性ネピアグラス(DL)の乾草利用の可能性を明らかにするため,乾物収量,1番草乾草の飼料成分含量および黒毛和種繁殖成牛の採食性を,ローズグラス品種カタンボラ(Rg)乾草と比較調査した.乾物収量では,DLがRgと比べて,1番草で16%,2番草で67%各々高かったが,生育期間が長かったため個体群成長速度(CGR)ではDLがRgに比べて低くなった.水分含量が20%未満となる乾草調製には,Rgでは4日間要した.DLは調製期間が盛夏であったが7日間要した.乾草の飼料成分含量は,DLがRgに比べて,粗タンパク質含量およびin vitro乾物消化率が有意に高く,中性ディタージェントファイバー(NDF)含量およびヘミセルロース含量が有意に低く,長期保存可能な乾草でも良質な粗飼料が調製できた.黒毛和種繁殖成牛4頭による乾物摂取量でみた採食性の評価には,DLとRgには大差なかった.したがって,西南暖地でDLは,青刈り,サイレージ調製,放牧に加えて,乾草調製でも良質な粗飼料を確保できる新たな利用法を提案した.

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