西日本畜産学会報
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高温環境下における乳牛の乳量、乳質に及ぼす濃厚飼料の給与量とその給与回数の影響
栗原 光規高橋 繁男久米 新一相井 孝允
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1989 年 32 巻 p. 46-54

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抄録

夏期高温環境下 (平均気温27℃以上) における乳牛の乳量および乳成分率に及ぼす濃厚飼料の給与量 (乳量の30%および50%) とその給与回数 (2回および5回) の影響を検討した。その結果, 次のような知見を得た。1) 日平均気温27℃以上では体温および呼吸数はそれぞれ39.5℃および75回/分以上であったが, 体温および呼吸数には濃厚飼料の給与量とその給与回数による差は認められなかった。2) 乾物摂取量には濃厚飼料の給与量とその給与回数による明らかな差はなかったが, 飼料摂取量と日本標準飼料成分表の消化率より求めた推定TDN摂取量は, 濃厚飼料多給時に増加する傾向を示した。3) 高温による乳量の減少割合は, 濃厚飼料多給により抑制される傾向にあった。しかし, その給与回数を増加させても乳量に変化は認められなかった。4) 乳脂率は, 濃厚飼料多給により低下したが, その給与回数を2回から5回にすると0.2%程度増加し, 4%脂肪補正乳量も増加する傾向を示した。5) 蛋白質率およびSNF率は, 濃厚飼料の給与量およびその給与回数により影響されなかった。6) 以上の結果から, 高温環境下では濃厚飼料多給により乳牛のエネルギー摂取量の減少を抑制し, さらにその給与回数を増加させ乳脂率の低下を抑制することにより, 4%脂肪補正乳量の減少を抑制できる可能性が示唆された。

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