抄録
宮崎および鹿児島県で1988年から1994年にかけて産肉能力直接検定にかけられた, それぞれ172および225頭の黒毛和種雄牛の胸最長筋横断面積 (MLTA) , バラの厚さ (RT) , 皮下 (SFT) および筋間 (IMFT) 脂肪厚ならびに脂肪交雑 (BMS) の超音波推定値の遺伝的趨勢を明らかにした。これら屠肉形質の分析には, 多形質アニマルモデルREML法を用いた。
直接検定終了時のMLTA, RT, SFT, IMFTおよびBMSの超音波推定値の遺伝率は宮崎と鹿児島でそれぞれ0.19と0.37, 0.20と0.17, 0.52と0.57, 0.23と0.05および0.38と0.21と推定された。RTとSFTの育種価における遺伝的趨勢は両県でほとんど同様であった。また, 宮崎県におけるBMSの種雄牛の育種価には変動が認められた。一方, 鹿児島県では分析に供したすべての形質において変動が認められた。屠肉形質超音波推定値の種雄牛, 母牛ならびに直接検定雄牛の育種価推定値は, 直接検定雄牛の頭数が限られていたことが影響したと思われるが, いずれもかなり低い値であった。