2003 年 46 巻 p. 87-91
南九州の農家2軒で飼養されているヤギ延べ270頭について糞便検査と駆虫薬の投与を行い, 消化管内寄生虫の季節的変動を調査した.駆虫法として2000年4月と7月にイベルメクチン製剤 (0.2mg/kg, sc) とスルファモノメトキシン製剤 (40mg/kg, sc) を投与し, 同時に毎月糞便検査を行い, 個体毎の一般線虫, 毛細線虫, 乳頭糞線虫, コクシジウムのEPGとOPGの変動を調査した.その結果, 4月と7月の駆虫後, 一般線虫は4月224.2, 5月45.0および7月243.1, 8月55.1とEPGが有意に減少した (p<0.05) .コクシジウムは, 4月1228.9, 5月118.6とOPGが有意に減少した (p<0.05) .季節的変動では7月の駆虫後, 翌年3月までEPGとOPGが低値で推移する農家と再び増加する農家に分かれ, これは両農家における環境飼養形態の相違が考えられた.南九州のヤギに対して, 春と夏の2回, イベルメクチン製剤とスルファモノメトキシン製剤による駆虫は臨床的に有効であった.