水資源・環境研究
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論説
ブラジルにおける流域委員会の立法化への住民関与
サンパウロ州とリオグランデドスル州を事例として
小野 奈々
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2012 年 25 巻 1 号 p. 13-23

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抄録
 水資源・経済大国ブラジルが、水資源の利用と保全をどのように両立させるのかが研究課題である。課題を明らかにするため、本稿では州管轄河川を対象とする流域委員会の設置過程について明らかにする。分析では、流域委員会の設置が立法化されるまでの住民関与に注目し、一部地域では、公害をきっかけとする環境運動が流域委員会の立法化を牽引したという仮説を検証していく。またそれが流域委員会の運営にどのような影響を与えていったのかを考察する。本稿をつうじて得られる知見は、流域委員会の設置数が多いサンパウロ州とリオグランデドスル州では、流域委員会設置の立法化までに住民が自主的に関与していったことである。また、州政府が立法化に関与した住民のネットワークを流域委員会にどう編入したかによって、両州の流域委員会の運営に差が生じているということである。
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