2015 年 28 巻 1 号 p. 82-88
伊豆諸島にある利島(東京都)には、樹幹流をせき止めて雨水を集める伝統的な集水法があり、「シデ」と呼ばれている。本論では、これと類似した集水法を「シデ様雨水集水法」と定義し、国内外における分布や小規模雨水集水法としての位置づけを明らかにすることを試みた。利島および与論島(鹿児島県)でのフィールド調査、アンケートや文献を用いた国内分布調査、そして文献やインターネットを用いた国外分布調査を実施した。その結果、シデ様雨水集水法は国内外含め、広く西太平洋地域に分布しており、いずれも類似した構造をもっていることが分かった。また、ある程度の降水量があること、それに地下水に乏しいといった条件が、シデ様雨水集水法の存在と大きく関わっていることが明らかになった。