水資源・環境研究
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特集論説
改正水道法後の水道事業の民営化の論点
仲上 健一
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2019 年 32 巻 2 号 p. 44-51

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抄録

改正水道法(平成30年法律第92号、平成30年12月12日公布)における国会議論と残された課題を検討する、地方自治体の反応の特徴を整理した。改正水道法の最大の論点は、水道事業へのコンセッション方式の導入であり、コミュニケーション方式のメリット・デメリットについて類型化した。水道事業のコンセッション方式の導入において、浜松市における、 「浜松市水道事業へのコンセッション導入可能性調査業務報告書」(平成30年2月)を対象に、コンセッション導入検討プロセスについて検討するとともに、本報告書における結論は、水道事業を経済性のみでの判断を基本にコンセッション方式の優位性が導き出された結論であり、水道利用者の住民や事業者のコンセッション方式の意向が把握されていないことを指摘した。水道法改正にあたっては、問題解決の方法として、水道事業の経営の視点で議論されており、水道事業の全体環境である行政・労働者・地域住民・社会の視点で問題点を検証し、課題解決の道を探る必要がある。

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© 2019 水資源・環境学会
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