本稿は、水をめぐる会計の研究動向についてその特徴を整理し、今後の研究の方向性を明らかにすることを目的としている。系統的レビューと記述的レビューを組み合わせて研究を行った結果、系統的レビューからは、会計学分野から直接アプローチされている研究は、水管理や環境科学の領域に比べてまだその草創期にあることが明らかになるとともに、クラスター分析から研究の焦点が水資源管理、環境問題、水情報および流域対象の水会計という4領域に及んでいることが明らかになった。また、文献を絞り込んだ記述的レビューからは、測定尺度、国際的水会計ツールの選択、バウンダリーおよび学際性による異分野協働という4つの論点の存在が明らかになった。これらの論点については順に貨幣情報、各ツールの収斂や役割分担、流域レベルとサプライチェーンとの関係、そして異分野協働による研究について、研究を展開していくことが必要である。