水資源・環境研究
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論文(論説)
淀川水系の治水設計の前提となる水理の認識の検証
−琵琶湖と瀬田川洗堰の治水機能−
中川 晃成
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2024 年 37 巻 1 号 p. 9-20

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抄録
淀川水系の治水原理のひとつに、淀川本川の洪水防御のため、瀬田川洗堰の操作により、本川の流量ピーク時には琵琶湖に降雨を一旦貯留させ、この貯留水の放流を本川の流量低下後に行うとする考え方がある。そこでは、降雨時に琵琶湖の水位ピークが淀川本川の流量ピークに遅れるとする「淀川水系の特性」の存在が前提となっている。ここにおける琵琶湖・淀川水系の出水時の水理の理解には問題があり、また実際の水理のあり方とも相違することを指摘した。すなわち、実測された水文データからは、大規模出水時に琵琶湖水位の上昇の主要部分は淀川本川の流量ピークにむしろ先んじていることが確認できる。出水時の湖水位上昇が本川流量ピークに遅れて本格化するとの錯誤は、淀川水系流域委員会第1回琵琶湖部会(2001年5月11日)で河川管理者が提示する資料において認められ、そのまま現行の河川整備計画にも引き継がれている。
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© 2024 水資源・環境学会
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