水資源・環境研究
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論文(論説)
ボトムアップアプローチの促進における流域管理組織の役割
キューバの水ガバナンスを事例に
加治 貴Fermín E Sarduy Quintanilla井上 真山根 春夫
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 37 巻 2 号 p. 54-

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抄録
本稿では、中央集権的な特徴のある水ガバナンスでのボトムアップアプローチ促進のための流域管理組織の機能について検討した。事例としてキューバのアルテミサ県とマヤベケ県の水ガバナンスおよびマヤベケ県流域委員会を取り上げた。同国ではボトムアップ促進の基礎となる制度があるが、加えて県流域委員会がその機能であるモニタリングと評価、調整、市民参加、知識生産を強化、実施することが重要である。モニタリングと評価は関係者の共通認識の醸成に必要である。県と市流域委員会がモニタリングと評価を基に共通認識を持ち調整を図ることで、市レベルからの参加を促進できる。流域の観点からの情報共有は市民参加の底上げにつながる。これらの実践とその振り返り、改善は知識生産の機会となり、組織としての社会的学習により機能が強化される。ボトムアップアプローチの普及には時間が必要だが、流域管理組織の機能強化はその促進のために必要不可欠である。
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© 2024 水資源・環境学会
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