抄録
地域環境NPOにおいては、担い手の確保と世代交代が課題となっている。本稿では、滋賀県守山市のNPO法人「びわこ豊穣の郷」を事例として、地域環境NPOの会員を活動への参加の程度に基づき、「中心層」「活動参加層」「活動支援層」に区分し、地域環境NPOの会員の入会理由がどのように変化してきたかを明らかにし、担い手の確保と世代継承の方向性について検討する。
1999年、2007年、2015年、2023年の4時点で実施した「びわこ豊穣の郷」の会員アンケート調査の結果について、会員層ごとに入会理由の変化を分析した結果、すべての会員層において、「びわ湖の水質と環境への関心」が共通する基底的関心となっていた。また、2023年調査では、「ホタルなど水辺の生き物への関心」が大きく増加していた。「中心層」「活動参加層」においては、「地域の身近な川や水路の環境への関心」が高く、「ホタルなど水辺の生き物への関心」が特に高くなっており、会員全体や「活動支援層」においては、「住民主体の環境保全活動への関心」が増加傾向にあった。