2007 年 20 巻 p. 37-44
2003年に、「自然再生推進法」が制定され、自然保護に「地域の多様な主体の参加」や「国土交通省・環境省・農林水産省の連携」という多主体の連携の考え方が日本の法体系の中に取り入れられた。だが、これまでの自然保護活動は、日本の縦割り行政を反映し、同じ地域内でも限られた団体のみの小規模な活動で終わることが多かった。そこで必要となってくるのが、コーディネーターの存在である。
本研究が事例として取り上げる「高島市うおじまプロジェクト」では、積極的なコーディネイト活動が展開された結果、これまで成しえなかった国土交通省と土地改良区の連携が構築され、そこから連携の輪が広がっていった。そこで、自然保護活動の活性化において基軸となる要因を明らかにするため、現在もネットワークが拡大し続けている「高島市うおじまプロジェクト」を事例とし、コーディネーターの役割に関する考察を試みた。