抄録
ストックホルム国連人間環境会議を初めとする環境に関する国際会議では、宣言型の文書がそれぞれ採択されている。この中で、地球憲章は持続可能な開発と地球環境の保護を目指し1992年のブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミットで初めて採択が試みられたが、NGOのみの採択にとどまった。各国政府は代わりにリオデジャネイロ宣言をまとめた。その後リオ+10にあたる2002年のヨハネスブルグ・サミットに向けて新たな地球憲章運動が取り組まれた。本論文では国連レベルでの承認を目指している地球憲章が、承認に向けてこれまでどのように取り組まれてきたかを最初に述べる。次にこうした地球憲章に盛り込まれた理念が、今日までの、環境に関する諸国際会議の宣言文に段階的に採用されてきた理念的発展を明らかにした。次にヨハネスブルグ・サミットの「政治宣言」をめぐり「地球憲章」が承認寸前だったことなどさまざまに取り組まれたことを明らかにした。そして、さらなる憲章の理念を具体化させるため、国連での採択や「持続可能な開発のための教育の10年」計画の実現にむけた取組み、市民への啓発と各地でパートナーシップ・イニシアティブの取り組みの推進が望まれることを述べた。