抄録
20世紀を通じて大量生産大量消費大量廃棄型の経済発展を続けた結果、地球環境問題は、人類の存続を危ぶまれるほど深刻な状況に陥っている。そこで、"将来の世代が自らの欲求を充足する能力を損なうことなく、今日の世代の欲求を満たす"ような「持続可能性(Sustainability)」の観点から、現在の社会・経済システムを見直す必要が指摘されるようになった。そもそも「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念は、南北問題と環境問題の解決を図るなかで出てきたものである。しかしそのためには、とくに先進国の人々の意識改革を通じて社会・経済システムの変換をめざす教育的手法が不可欠との認識が広がっている。
1990年代以降、日本においても環境教育の目的として、持続可能性の観点が強調されるようになった。その結果、環境教育と、開発教育や平和教育など他の教育分野との境界が希薄になり、グローバルな観点から広義に学際的に捉えられるようになってきた。同時に、各地域の環境資源の特性に応じたローカルな持続可能な地域づくりの重要性も認識されるようになっている。