木材保存
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研究論文
基礎断熱を含む異なる基礎仕様の木造住宅の床下温湿度環境が木材含水率に及ぼす影響(北海道および秋田県の事例)
大澤 朋子栗本 康司土居 修一
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2023 年 49 巻 2 号 p. 44-59

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抄録

わが国の木造住宅の床下環境は構法の変遷とともに変化しており,現在は床下土壌現しよりも床下防湿コンクリート打ちが主流で,寒冷地を中心に床下換気孔を持たない基礎断熱工法も広まってきている。そこで本研究では,居住者のある住宅を対象に,至近に建つ4棟の木造住宅の床下温湿度を1年間実測する調査,新しい基礎仕様である基礎断熱の木造住宅1棟の床下等の温湿度および木材含水率を17年間の長期にわたり実測する調査の2つを行い,異なる基礎仕様が土台等の床下木材に与える影響を検討した。その結果,基礎断熱の住宅の床下環境はいずれも年間を通して相対湿度40~80%の低湿に保たれており,床下木材が高含水率となる危険性はなかった。一方,床下換気孔を持つ在来型の基礎の場合は夏季に相対湿度が80%を超える高湿度期間が確認され,床下木材が高含水率となる懸念があった。さらに床下防湿コンクリート打ちの住宅は床下土壌現しの住宅よりも高湿度の影響が大きく,これは床下が低温となることに起因することが分かった。

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